プロ野球「春季キャンプ」が宮崎に与えた貢献 2018年の12球団のキャンプ動向を探る<上>

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さらに、「対戦相手」も重要だ。キャンプは中盤以降、実戦練習が中心になる。紅白戦を経て練習試合をするうえで、対戦相手が近くにいることも大事なポイントだ。

プロ野球春季キャンプは地域によって、さまざまな事情を抱えている。

宮崎県では、宮崎市、日南市、西都市でプロ野球キャンプが行われている。宮崎市ではソフトバンクホークス、オリックス・バファローズ、巨人の3球団がキャンプを行っている。1つの市町村で、3球団がキャンプを張っているのは宮崎市だけだ。

JR宮崎駅からは、キャンプ期間中、キャンプ場へのシャトルバスが出ているが、この便数は、平日は巨人、オリックスが3便、ソフトバンクが7便、土日は巨人、オリックスが7便、ソフトバンクが15便。これでわかるように、圧倒的にソフトバンクの人気が高い。

かつては、宮崎キャンプと言えばパイオニアでもある巨人の人気が圧倒的だったが、巨人の1軍が2月後半に沖縄で二次キャンプを張るようになったこともあり、地元九州のチームであるソフトバンクの観客動員数が大きく伸びてきている。また、新たにオリックスを誘致したことで、大阪方面からの誘客も伸びている。

宮崎市スポーツランド推進課課長の野尻政嗣氏は語る。

「各球団の成績で、春季キャンプの来場者は大きく変わる傾向にあります。ホークスが2連覇した翌年の2016年は73万3000人でしたが、前年2位に終わった昨年は50万人弱。今年は優勝の翌年なので60万人は行くんじゃないでしょうか」

「おらがチーム」ホークスキャンプに押し寄せるファン

ソフトバンクのキャンプは2003年から、宮崎市中部の生目の杜(いきめのもり)運動公園で春季キャンプを行っている。

広大な公園には本格的なグラウンドが2面あり、サブグラウンド、室内練習場などの施設も充実。ソフトバンクの1~3軍の全選手がA、B組に分かれて、一つの敷地内で練習に励んでいる。早朝からの多くのファンも間近で選手たちの練習風景を見ることができる。

「何といっても本拠地の福岡と地続きなのが大きいと思います。シーズン中も私どもは九州各地で試合をします。九州の皆さんはホークスを”我がチーム”だと思ってくださるのでしょう」と、福岡ソフトバンクホークス経営管理本部広報企画部部長の鈴木直雅氏は話す。

地元の手厚い受け入れ態勢についても、「宮崎市、観光協会の方々の物心両面でのサポートは本当にありがたいですね」と話した。

ソフトバンクは今季から、メインスタジアムである宮崎市生目の杜運動公園アイビースタジアムの観覧を一部有料にした。鈴木氏は、これについては「有料化」ばかりが注目されるが、真の目的は別にあるという。

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