グループディスカッションでは、課題について協力して議論するが、共同で成果物を作ることはない。さらに、ディベートでは課題について討論し、成果物は作らない。
整理すると、(1)グループワークは成果物を作る。グループディスカッションとディベートでは成果物を作らない。(2)グループワークとグループディスカッションでは学生たちは協力関係にあるが、ディベートでは競い合う。
個人面接やグループ面接と比べ、グループワークを実施する企業は少ない。グループディスカッションを実施する企業は約1割、グループワークは3%、ディベートは1%にとどまる。
ただ、企業規模によって、グループワークの実施率は変わる。中小や中堅企業では実施する企業が少ないが、大企業になると4割程度が実施しており、比較的高い。
企業規模が大きいと、グループワークの実施率が高い理由は、「効率的に選考が行える」から。個人面接は選考の王道だが、多数の応募学生を1人ひとり面接するのは、時間がかかる。志望動機や学生時代のエピソード、得意なこと・不得手なこと、挫折経験などが定番の質問だが、1つひとつを質問していくには時間がかかる。また、話を作ってくる学生がいて、見抜くのはけっこう難しい。逆に、おどおどして話せない学生もおり、手を焼くことも多い。
判定や進め方については、面接官の技量が問われることになるが、多数の学生を比較して優劣を判断するのはなかなか難しい。なぜなら質問は同一でも、回答(内容)が別々だからだ。
グループワークは性格や能力が読み取りやすい
一方、グループワークのやり方は、全く違う。5~6人の学生にお題を示して、議論させる。1人ひとりのこれまでの履歴は問わず、お題を与えるのだ。回答の仕方を通して、企業は学生の課題理解力と他人の話を聴く能力(傾聴力)、自分の意見を話す能力(発信力)を測る。
広い会場にたくさんの学生を集めてグループに分け、同時進行でワークさせることもできる。司会役、タイムキーパーなどの役割を、学生にやらせれば、ワークに立ち合う社員は観察役に徹することができ、容易に学生の性格や能力を見て取ることができる。
ではグループワークにいかにして勝ち残るか。方法は単純。出されるお題の傾向を事前に知っておくことだ。
「最も印象に残っている、グループディスカッション、グループワークテーマ」の回答を読むと、大きく「まじめなお題」と「惑わすお題」の2つに分かれる。真面目なお題は自社業務や企業理念について質問し、自社に対する理解を深めようとしているように見える。
・「お客様に支持してもらえる会社になるための要素を3つ挙げる」(首都大学東京・理系)
・「新しいビジネスモデルを地域創生のために考える」(慶應義塾大学・理系)
・「弊社の新商品のコンセプトをグループごとに1つ考えて下さい」(神奈川大学・文系)
・「その企業の商品がランダムに配られ、それをPRし合う」(東京大学・文系)
・「2つの絵から1つを選び、その企業の営業職としてできることは何かを話し合う」(関西学院大学・文系)
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