聞く耳を持たない上司が知らない部下の本音 「聞いているつもり」で済ましてはいけない
リーダーシップのスタイルは人によってさまざまですが、一方的に指示命令を押し付けるだけでは、よいチームを作ることはできません。メンバーと意見を交わしながら、ともにチームをつくり上げようという姿勢が必要です。
しかし、そんなメンバーからの意見を聞いているにもかかわらず、実際にはメンバーの意見を取り入れていないリーダーに出会うことがあります。
もちろんすべての意見を聞き入れる必要はありませんが、意図をもって「聞き入れない」ことと、「聞いているつもり」で何もしていないことでは、その中身がまったく違います。
特にメンバーのやる気を盛り上げるリーダーは、この「聞いているつもり」には絶対に陥りません。
今回は、メンバーを積極的に参加させ、チームによい空気をもたらすための、部下からの意見や提案の聞き方を考えてみます。
慎重過ぎる性格が裏目になったFさん
Fさんは、メンバーからできるだけ幅広く意見を聞いてチーム運営に取り入れようと思っている、民主的な考え方を持ったリーダー。メンバーとはいつもいろいろ話し合い、「よくコミュニケーションをとっている」という自負があります。
しかしFさんには、提案を歓迎してせっかくいろいろ聞こうとしているのに、メンバーから意見があがってくることが少ないという不満がありました。初めはいろいろ言っていたメンバーが、いざ実行しようとすると、なぜか腰が引けていて積極的に関与しようとしなかったり、最近は意見すら言わなかったりします。
これでは自分が考えるチーム運営はできないと考えたFさんは、ある日のミーティングでメンバー全員に自分が思っている不満を告げ、チーム運営に積極的に関与してほしいと要望しました。
しかし、この話に対してメンバーの表情はどこか不満げです。そんな中で、メンバーの一人が言いにくそうに口を開いたのは、「提案しても結局は取り入れてもらえない」という話でした。