仮想通貨取引所は「新団体」で何が変わるのか 既存の2団体は存続したままでスタート
歩み寄りで業界は変わるのか――。3月1日、金融庁に登録する「登録仮想通貨交換業者」の全16社が、新たに一般社団法人を設立し、資金決済法で定められている「認定自主規制協会」として金融庁からの認定取得を目指すことで合意した。
現状、仮想通貨交換業者の多くが日本仮想通貨事業者協会(JCBA)、日本ブロックチェーン協会(JBA)という2つの一般社団法人のどちらか、あるいは両方に所属している。今回打ち出されたのは、この2団体とは別に、登録業者16社が中心となり新たな団体を発足し、金融庁の認定取得を目指すという方針だ。
認定を得られれば、団体で定めたセキュリティ面などの自主規制について、違反があった業者に罰則を課すことができる。新団体は、利用者保護の強化や業界の発展において重要な役割を担うことになりそうだ。
金融庁が望んだ「自主規制」
2団体の「一本化」構想は、2年ほど前からあったという。しかし、資金決済法の改正で仮想通貨交換業者の登録制が導入され、2017年9月に第一陣(11社)が発表されたときも、業界団体は2つに分かれたままだった。
これについて同年10月、東洋経済のインタビューで金融庁の佐々木清隆総括審議官は「以前から業界とも自主規制協会の構築について話し合ってきた。2つの協会(JBA、JCBA)の早期一本化も含め、認定団体の自主規制が機能するようになることが望ましい」と述べている。つまり、自主規制団体の認定申請は一本化が大前提との認識を示していた。
しかしその後も両団体による擦り合わせは、折り合いがつかないまま時間だけが経過。そんな折に発生したのが、2018年1月26日の取引所大手・コインチェックの仮想通貨「NEM(ネム)」流出事件だった。
JCBAの会長を務める奥山泰全・マネーパートナーズ社長は2日の記者会見で「年始以降、仮想通貨が値下がりしたこともあり、業界にしっかりしたガバナンスが求められるようになった。そんな中、現在の登録仮想通貨交換業者で、認定自主規制団体の設置を急ぐことに合意した」と語った。奥山氏は「コインチェックの件は新団体設立の契機ではない」としたが、大規模な流出事件が一本化の背中を押したことは明らかだろう。
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