「中目黒-池袋」IC乗車券が90円以上安いワケ IC運賃ルールで鉄道会社「収入ゼロ」の例も…
今年の正月、友人と千葉県の香取神宮へと向かうため、東日本旅客鉄道(JR東日本)成田駅(同県成田市)から成田線で香取駅(同香取市)を目指すことにした。
PASMOで改札を通ろうとする友人に、筆者は「IC運賃は583円で、紙のきっぷだと580円になるけれど、IC乗車券を使う?」と問い掛けたところ、友人は「ICのほうが紙のきっぷよりも安いんじゃなかったの?」と戸惑いながらも、券売機で紙のきっぷを購入したことは言うまでもない。
2014年4月1日に消費税率が5%から8%に引き上げられたことにともない、各鉄道事業者は運賃・料金の改定を実施した。首都圏ではIC運賃について1円単位の運賃を採用した一方で、現金運賃は従来通り10円単位の運賃とした。その際、多くの私鉄・地下鉄の事業者がIC運賃を現金運賃以下に設定したことが「IC運賃は現金運賃よりも安い」との消費者の認識につながった要因の一つと考えられる。
IC運賃のほうが高い区間も少なくない
しかし、JR東日本と一部の私鉄では、IC運賃のほうが現金運賃よりも高額の距離帯が生まれた。冒頭の成田駅―香取駅間30.5kmはJR幹線運賃31~35kmの距離帯に該当し、JR東日本Suicaエリアでは、現金運賃580円に対してIC運賃は583円となる。
そのほかにも、幹線1~3kmは現金運賃140円に対してIC運賃144円、46~50kmでは現金運賃840円に対してIC運賃842円などといった具合に、『JR時刻表』の「営業案内」に記載されている1~540kmまでの38の距離帯のうち17の距離帯でIC運賃が現金運賃よりも高い「逆転運賃」が生まれているのである。
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