玄関の鍵が「子どもの見守り」になる仕掛け ソニー子会社が手がける新サービスとは?

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ソニーの100%子会社キュリオの「スマートロック」(写真:キュリオ)

ソニーが自身も出資するベンチャー投資会社WiLと共同で、IoT時代の新しい商品・サービスを企画・販売する会社としてQrio(キュリオ)を設立したのは2014年12月のことだ。ほぼ同時期にスタートしていた社内ベンチャー支援制度のSAP(Seed Acceleration Program)とともに、大企業からは生まれにくい新たな商品の企画をボトムアップで実現していこうという流れの中に、キュリオもあった。

その源流をたどると、2013年8月、ソニーや日産など日本を代表する大企業の出資で始まったのが310億円の資金を集めたWiLに至る。伊佐山元氏や松本真尚氏と共にWiLを創設した元サイバーエージェントの西條晋一氏が、出資元であるソニーに新コンセプトの製品を共同開発しようと持ちかけたのが始まりだ。

2017年9月、キュリオを完全子会社化

そして約3年が経過した2017年9月末、ソニーはキュリオを完全子会社化。グローバルで進むスマートホーム化の流れの中で、同年8月には東京電力エナジーパートナーと協業し、各種センサーを活用した家庭用見守りサービスの提供を開始、スマートホームジャンルへと進出したばかりだった。

「僕はもともとソニー製品ファンだった。ソニーとの共同プロジェクトなら、自分自身で提案したい」というキュリオ社長の西條晋一氏に話を聞いた。

キュリオ社長の西條晋一氏(編集部撮影)

大企業との協業となれば、社内ベンチャーの立ち上げを狙うチームと協業し、参画してカーブアウトというのが通常の流れだが「社内チームの編成となると部署を超えての人材集めや企画のとりまとめに時間がかかるだろう」(西條氏)との判断から、自分たちのほうから“これをやろう”と持ち込むほうがスピード感のある動きができると考え、西條氏自身が企画して持ち込んだのが、最初の製品でもある「Qrio Smart Lock(キュリオスマートロック)」だった。

2015年に出荷を開始したキュリオスマートロックは、コンシューマ向けに本格展開しているライバルがいないこともあり、市場では圧倒的なシェアを持つ。

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