英紙「眞子さま・小室さんの結婚延期は謎だ」 前代未聞の「延期」をどう報じたか

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デメトリオ記者は、週刊誌は日本の主流メディアと比べて「より自由度が高く、論争を巻き起こすような」報道を行う傾向がある、と書く。それは週刊誌が記者クラブ(「プレス・クラブ」)体制の外で活動しているからだ。記者クラブ体制は「加盟や省庁内でのニュースのアクセスを厳しく制限している」。

デメトリオ記者はテンプル大学(日本校)のジェフリー・キングストン教授に日本の主流メディアと最近の週刊誌報道について取材している。

日本では報道してはいけないことがある

キングストン教授の見立てによると、英国の大衆紙による熾烈な報道に比べれば、「小室さんは穏やかに扱われたと言ってよい。宮内庁は一連の報道にまゆをひそめているのは間違いない」。日本では報道してはいけないことがあり、それが何かについて誰もが知っている、と指摘。「報道するなとはっきりと言われなくても、(主流メディアは)報道しない」。

眞子さまが一般人と結婚することは「日本では非常に大きな意味を持つ」と教授は言う。皇室が一般人と結婚する場合、「一般人」と言っても、「貴族の一般人」だった。しかし、今回の場合は「普通の一般人」との結婚になる。

「宮内庁や政府の中には普通の一般人との結婚は一番の選択肢ではないと考えた人もいたと思う」。しかし、眞子さまは「自分の心の声」で小室さんを将来の夫として選んだ、とキングストン教授は述べる。

心の声、つまり、愛情で自分のパートナーを選んだ眞子さま。週刊誌報道や身分の上下に惑わされることなく、例え先延ばしになったとしても、愛情で結ばれた2人が結婚への道を進むことを願う余韻を残して、記事は終わっている。

英国では2017年秋、チャールズ皇太子の次男ハリー王子と米女優メーガン・マークルさんが婚約を発表。今年5月19日にウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で結婚式が行われる。エリザベス女王の第3子ヨーク公アンドリューの娘、ユージェニー王女も交際相手のジャック・ブルックスバンクさんと秋に同じ礼拝堂で結婚する予定だ。

今年2組もロイヤルカップルによる結婚が行われる英国と、眞子さまの結婚が延期されてしまった日本。明暗が分かれた格好となったが、一般人と結婚することにより皇室を離脱することを余儀なくされる眞子さまは、小室さんとの愛を貫くことはできるだろうか。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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