不吉なサインが点灯、リスク資産下落を示唆 シグナル発生後の株の下落率は、平均で12%

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 2月2日、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)は、リスク選好度を測る同社の「ブル・ベア指標」が「セル」となり、リスク資産の下落を示唆したと明らかにした。写真はNY証券取引所のトレーダー、1月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロンドン 2日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)は2日、リスク選好度を測る同社の「ブル・ベア指標」が「セル」となり、リスク資産の下落を示唆したと明らかにした。

BAMLによると、指標は1月30日に7.9から急上昇し8.6となった。株式市場への資金流入が過去最高規模となったほか、ヘッジファンドのリスク許容度の上昇が背景。

同社のストラテジストによると、この指標は2002年以来、11回発生した調整を全部予測したもよう。シグナルが発生した後の株式相場の下落率は平均で12%だという。

同社のストラテジストは、S&P総合500種<.SPX>が第1・四半期末に2686へ下落すると予想している。ただ、「セル」が発動したにもかかわらずS&P500種が3000を超えて上昇する可能性もあると述べた。

BAMLはリポートで「株式の投機的オーバーシュートが始まった。中央銀行による『流動性超新星』と、逆イールドとなったグローバル債券10兆8000億ドル規模の循環が背景」と指摘。センチメントに関するシグナルの関連性が低下したことを示しているとの見解を示した。

地域別ではアジアの顧客が相場に楽観的見方を示した。顧客からは、調整は時期尚早、最大2-3%の下落は買い場、マクロ経済と投資環境からみて売り場、などの反応があった。

賃金急増で債券のボラティリティー指数が空上昇すれば、予想以上に調整売りが出る可能性があり、S&P500は2600を下回る可能性もあるという。

しかし市場では債券ショックを既に懸念しており、大きなサプライズは2月の弱いマクロ経済指標、ドル高、利回り低下だとストラテジストは指摘。「債券ショックはコンセンサスになっており、1株利益ショック、クレジットショック、ドルショックのほうがクロスアセットのボラティリティ―急増のきかっけになる可能性が高い」との見方を示した。

BAMLによると、S&P500のブル市場は先週1月26日に過去2番目の高水準となった。

今週は株式ファンドに257億ドル、債券には57億ドルが流入した。

新興国市場も今週「売り」シグナルが点灯、1月は新興国株式に運用資産の1.8%以上が流入した。

年初来でみるとデフレ圧力による買いも強く、ハイテク株に過去最高の57億ドル、投資適格と新興国クレジット市場には354億ドルが流入した。

インフレやドル安要因での資産買いもあり日本株には125億ドル、金融には36億ドル、米インフレ連動債には過去最高の44億ドル、新興国株式には244億ドルが流入した。

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