止まらないドル安円高、賃上げ交渉に影響も 日欧「反撃発言」に注目
[東京 25日 ロイター] - ドル安/円高が止まらない。米国のセーフガード発動で貿易摩擦問題への懸念が高まる中、米財務長官のドル安容認発言が拍車をかけている。円高進行で日本企業の業績上振れ余地が狭まれば、これから本格化する春闘の賃上げ交渉にも影響を与えかねない。日欧当局者などからけん制発言が出るかが今後の注目点だ。
CTAもドル/円ショートに転換か
節目の110円を24日に割り込んだドルは、25日に108.73円まで下値を広げた。国内実需筋などの買いで一時は109円半ばまで戻したものの、下落トレンドを変えるには至らなかった。
これまで110円はレンジ下限とみる国内投資家から買いが入りやすく底堅いとの見方が根強かっただけに、市場では「110円割れの意味は大きい。105円方向へドアが開かれた」(大手邦銀)との指摘もある。
トレンドフォロー型のCTA(商品投資顧問業者)も、ドル/円ショートに転換したとの見方が出ている。「早期に下落トレンド反転のきっかけをつかめなければ、CTAの売りは2月半ばまでくすぶり続け、一本調子でショートが打ち込まれる展開が現実味を帯びる」と野村証券のクオンツ・ストラテジスト、高田将成氏はみる。
通貨オプション市場でもドル安/円高予想が急速に強まっている。ロイターデータによると、ドル/円リスクリバーサル(RR)の1カ月物は、ドルプットオーバーの傾きが昨年11月以来の水準に拡大した。
ドル/円は、昨年9月から11月の上昇に対するリトレースメント61.8%戻しに当たる110.15円を下抜けており、次の下値サポートは昨年9月安値107円前半まで見当たらない。「短期筋はドル安/円高でどこまで行けるか探る展開になっている」(国内証券)という。