米財政を警戒しリスクオフ、株安、円高に

安倍首相の消費増税、経済政策の発表も注視

9月30日、週明けの東京市場では、一段とリスクオフムードが強まった。写真は5月、都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 30日 ロイター] - 週明けの東京市場では、一段とリスクオフムードが強まった。米議会での予算審議が難航し、政府機関閉鎖の可能性が高まるなど米財政問題が深刻化したためだ。

米議会で近く妥協点が見出されるとの期待は根強く、経済への影響も限定的とみられているが、不透明感の強まりを嫌気した株安・円高が進んでいる。株安が加速すれば「逆資産効果」による景気下押し圧力が強まりやすいため警戒が必要だ。

<不透明感強まる>

9月期末を迎えた東京市場で警戒感が広がった。米国で10月1日から始まる2014会計年度予算が成立せず、米国政府機関の一部閉鎖となる可能性が高まったためだ。上院での審議はきょう東部時間午後2時(日本時間明日午前3時)から開始される予定だが、暫定予算案が議会を通過しない場合、政府機関やプログラムの一部が約17年ぶりに閉鎖され、4日の雇用統計の発表が延期される可能性もある。

不透明感の強まりを嫌気し、米株先物が下落。日経平均<.N225>も300円を超える大幅安となり、1万4500円を割り込んだ。期末のドレッシング買い期待や日銀によるETF(指数連動型上場投資信託受益権)買いへの期待もあって後場は下げ渋る場面もあったが、「米財政懸念を背景に海外投資家はリスクオフムードとなっており、積極的な買いは限定されている」(国内ファンドマネージャー)という。

ドル/円も97円半ばまで下落、リスク回避の円買いが進んだ。一時、ドル買い戻しで、98.06円まで上昇したが、すぐに97円台に沈んだ。米財政問題をめぐる米政界の対立を受け、目先不透明感が立ち込めていることで、投機筋の参加も細っており、ドル/円の「上値が重い」(外銀)状況が続いているという。

円債市場はあす1日の10年債入札に向けて調整圧力が強まったが、米債市場で「逃避買い」から金利が低下したことから、全体的には底堅い展開となった。ただ、米議会がこのまま紛糾すれば、債務上限問題の妥協点も見出しにくくなる。

JPモルガン証券・チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は「米政府機関閉鎖をめぐる懸念に加え、民主党、共和党のバトルのピークは債務上限引き上げ問題で、政治的な不透明感はさらに強まるだろう」と指摘。基本的に株安/債券高に向かいやすいとみている。ただ、債務上限が引き上げられなければ、米国は債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があるため、米債金利は上昇することも想定できると警戒している。

<政治リスクの高まりを警戒>

米国は、来年秋に中間選挙を控えることから、ごく短期間の政府機関閉鎖があったとしても、結局のところ、両党間で妥協が成立するとの見方が市場で多い。

また、米議会は借り入れ手段が尽きる10月17日までに連邦債務の上限を引き上げなければならないが、多くのアナリストは政府がデフォルト回避に向け歳出削減を行うとみている。

経済へのインパクトも、短期間の政府機関閉鎖であれば、大きくないと試算されている。1週間程度での閉鎖であれば10─12月期の米国内総生産(GDP)成長率を0.1%強、押し下げるにとどまる見通しだ。「中東プレミアム」が低下している原油価格が、米財政問題が長引けば景気を下押しするとの見方から下落気味であるほか、金利低下も景気を下支えする。

ただ、「リスクオフの大きな背景は、米政治リスクの高まり」(IG証券マーケットアナリストの石川順一氏)との指摘もある。シリア問題に続き、今回の米財政問題もオバマ米大統領の求心力低下が混乱をもたらしているとの見方は多い。足元の米経済は堅調だが、こうした不安感の強まりから、このまま株価下落が続けば、「逆資産効果」から米消費に大きな悪影響が及ぶ可能性もある。

日本では、あす1日に安倍晋三首相が、消費増税の判断を行う見通しだ。同時に発表されるとみられている経済政策が増税のマイナスインパクトを和らげることができるかを含め、市場の不透明感を払しょくできる内容になるかはまだわからない。

JPモルガン・チェース銀行・債券為替調査部長の佐々木融氏は「日米両国の政治的リスクに鑑みて、ここ1―2週間の間は、市場がリスクオフに傾きやすい地合いが続くと考えられ、ドル/円相場が95円割りこむ水準まで下落する余地がある」と指摘している。

(伊賀 大記 編集:田巻 一彦)

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