首都圏「大雪時の間引き運転」は逆効果だ 増発すれば列車がラッセル車代わりになる

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緻密なダイヤで大量の乗客を運ぶ首都圏の鉄道にとって雪は大敵だ(写真:kazemachi/PIXTA)

首都圏では1月22日の昼過ぎから雪が激しくなり、夕方の帰宅ラッシュの鉄道は大混乱した。首都圏で大雪となるたびに鉄道は大混乱し、利用者の間では「自然災害なのだから仕方ない」と、あきらめの声が大半だ。豪雪地ではこの程度の雪なら列車は普通に運行するが、首都圏では違う。「数年に1度の大雪のために、豪雪地のような設備投資はできない」というのが首都圏の鉄道事業者の共通認識だろう。

しかし、あきらめることはない。大きな設備投資をしなくても、東京の鉄道をもっと雪に強くする方策はある。

列車を間引くから雪が積もる

筆者はJR東日本に17年間勤めた間にさまざまな実務を経験し、雪に関しては、長野支社で3年間みっちりと経験した。

保線区では、妙高高原方面のラッセル車の当番(前月に夜業勤務が指定され、当日に大雪だとラッセル車のウイングとフランジャーの開閉操作に従事し、そうでないと夜業はなく翌日に通常勤務)の日になぜか大雪となることが多く、当番回数が保線区でいちばん多かった。

飯山に泊りがけで除雪の助勤に行き、先輩から「昔は、除雪後の初列車に、沿線のおばあさんたちが線路脇にしゃがみ込んでお辞儀をしたものだった」と教わった。その一方で、昭和50年代以降は並行する道路の除雪体制が整い、鉄道の除雪後の初列車はガラガラという現実も知った。

また、長野地区と信濃大町地区は雪が多いためラッセル車を持つ一方、松本・上諏訪地区は、気温は下がるが雪は多くないのでラッセル車を持っていなかった。筆者が長野の保線区に勤務していた年に、松本・上諏訪地区に数十年に一度(現地の人たちは異口同音に生まれて初めてと話していた)の大雪が降り、長野からラッセル車と一緒に除雪に行く経験もした。

長野勤務の3年間に普通の20年分くらいの雪の経験を重ねたが、先輩たちから教わった中で、最もなるほどと思ったことは、「列車を動かし続けると、線路にも架線にも雪は積もらない。止めると積もる」という点だ。言われれば当り前のことなのだが、雪との格闘を散々しただけに、実感としてよくわかった。

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