現代の悲劇「アルビノ狩り」を知っていますか 異色作家が小説の中で伝えたかったこと

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アルビノのモデル、CHIHIRO(instagram.com/chihiroalbino

アルビノであることを気にせず生きてきた

CHIHIROさんも「私は学生時代からアルビノであることを気にせず、生徒会長をしてみたり、陸上部として外を走り回ったりしていました」と笑う。自分の髪の毛を「子どもの頃からただ純粋にきれいだと感じていた、それだけです」と語るCHIHIROさんは今後、海外でのモデルの仕事を考えているという。

『呪術』は1月22日発売(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

日本にいるアルビノの人すべてが2人のような考えを持っているわけではないし、粕谷さんとCHIHIROさん、お2人にしても考え方はそれぞれ違う。それでも積極的に人前に出ようという2人の姿勢は正直、筆者には新鮮だった。

だから、自分の中にあった「アルビノに関する常識」を修正し、日常生活を送るうえでは大丈夫だという2人から聞いた情報を盛り込むことにした。

さらにキャラクター設定でもケイコのキャラクターを親しい人を失った「可哀想な存在」から「自分の運命を切り開こうとするたくましい存在」に変えた。この辺りはぜひ小説を読んでいただければと思う。

初瀬 礼 作家

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はつせ れい / Rei Hatsuse

長野県安曇野市生まれ。2013年日本エンタメ小説大賞優秀賞となったサスペンス小説『血讐』(リンダブックス)が処女作。2016年にパンデミックをテーマとした『シスト』、アフリカのアルビノ狩りを題材にした『呪術』を新潮社から出版、今作が4作目となる。松本深志高校、上智大学ロシア語学科卒。フジテレビ勤務。入社以来、20年余りにわたり報道・情報畑を歩み、社会部記者やモスクワ特派員、ディレクター、プロデューサーを経験する。@HatsuseRei

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