中国戦略を急転換 ホンダの深謀遠慮

中国戦略を急転換ホンダの深謀遠慮

ホンダが「H」マークのない中国独自ブランド車を開発--。突然の発表に業界関係者は驚きを隠せない。ホンダは「パンドラの箱」を開けてしまったのか。(『週刊東洋経済』8月4日号より)

 日本では、事の重大さがまるで伝わっていないようだ。

 7月18日、ホンダは中国合弁の広州本田汽車が2010年を目標にホンダのブランドを使わず、中国専用に開発した広州本田の独自ブランド車を投入すると発表。同時に300億円を投じ、本格的な高速テストコースを併設した広州本田の研究開発センターを設立するとブチ上げた。

 この日の会見では、ホンダのタイ、南米での4輪工場新設などほかにも大きな発表が相次いだ。そのため、新聞各紙は広州本田の記事を小さく扱うにとどまった。

 ところが、海の向こうの中国は違った。ホンダ会見の翌日、広州本田は早くも研究開発センターの設立式を開催した。大会場には真っ赤なじゅうたんが敷かれ、壇上の向こうには巨大なスクリーンがスピーカーの姿を映し出す。多くのマスコミが詰めかけたが、それもそのはず。来賓には広州市の張広寧市長。そして、国家発展改革委員会の陳建国氏も名を連ねた。同氏が民間の式典へ出席するのは極めて異例だ。

 陳氏は、1994年と2004年に発表された中国の自動車産業政策策定の中心的人物。言ってみれば、外資を含め自動車メーカーの戦略を左右する政策、行政指導を行う業界のドンなのである。式典のスピーチでは、こう胸を張った。

 「今回のホンダの決定をきっかけに、他の外資合弁各社も独自ブランドの開発を重視し、その具体策について真剣な検討を始めるだろう」

 この発言は中国全土に報道されたが、そこには数年来続いた外資との綱引きの中国政府側の勝利宣言、とのニュアンスがあった。

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