「金の食パン」で起きたパラダイムシフト 発売4カ月で1500万個。大ヒットがもたらした業界の変化

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だが、今回のように、「金の食パン」を追いかけるようにして、山崎製パンの「ユアクイーンゴールド」が登場したことで、これまでの通例が崩れ始めたともいえる。「今後はこういった真似される商品、潜在的なニーズを掘り起こす商品を作りたい」(鎌田氏)と意気込む。 

低価格化も限界、今後は高価格帯で競争激化も

一方、ナショナルブランドの食パン販売は低調だ。13年の上半期(1月~6月)、山崎製パンの食パンは前年割れ(前年比97.2%)。販売数量はほぼ横ばいだが、昨年から続く低価格競争が足を引っ張った。食パンは製造効率がよく、利益率の高い商品だけに、製パン各社としても悩ましいところ。山崎製パンの「ユアクイーンゴールド」は、単価の底上げを狙ったテコ入れ策の一つだ。

爆発的なスタートダッシュを見せた「金の食パン」だが、販売数量は6~7月をピークに、現在ではやや落ち着きを見せている。そこでセブンは早々とリニューアルを実際。10月から原材料の配合を見直して売り出すほか、新たに10月後半、「金のロール プレーン」を食事パンのラインナップに加えた。

ナショナルブランドの食パンが低価格競争で苦戦する一方、PBの高級食パンがヒットを飛ばす。だが、そうした動きをパンメーカーが静観する余裕はないはず。消費者のニーズが読みにくいなか、新たな需要の取り込みに向けて、メーカー、小売りの開発合戦は激しさを増しそうだ。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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