球界に参入した2005年、レギュラーシーズンを制したソフトバンクに51.5ゲーム差をつけられ“史上最弱”とも言われた楽天イーグルスが、今季、悲願のリーグ初優勝を果たした。過去にAクラス入りしたのは野村克也監督に率いられた2009年の1度のみだったチームが、なぜ、8年という短期間で栄冠を勝ち取ることができたのだろうか。
開幕22連勝を飾ったエースの田中将大、超大物メジャーリーガーとして鳴り物入りで来日したアンドリュー・ジョーンズ、若手の成長を見事に引き出した星野仙一監督がチームを牽引した“表の顔”とするなら、影で尽力したのが球団社長の立花陽三だ。
昨年8月、楽天グループの三木谷浩史会長に誘われ、メリルリンチ日本証券執行役員から転身。慶応大学を卒業して以来、ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックス、メリルリンチで輝かしいキャリアを歩んできた元外資系証券マンは、球界でも見事な手腕を発揮していく。
立花がまず行ったのは、チームを徹底的に分析することだった。成蹊高校時代にラグビーの高校日本代表、慶応大学でもスタンドオフとして活躍したが、野球に関しては素人だ。そこで求めたのが、誰もが納得できる数字的根拠だった。
「マネーボールではないが、数字的なアプローチのほうがわかりやすいし、ロジカルだと思う。他球団と比べてうちはどこが強いのか、弱いのか。それらを数字的に判断して、『じゃあ、ここを強くしよう』とアプローチした」
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