お化け屋敷を撤去、ロンドン駅ナカ最新事情 英国でも駅活用型ビジネスが動き出した

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ネットワークレールによると、ロンドンブリッジ駅の改修は、対応できる旅客容量を改装前と比べ3割増やすために行われたものだ。投入予算も単一駅の改装では過去最大となった。

ロンドンブリッジ駅周辺は過去10年に大規模な開発が進んでいる。高層ビル・シャードはEU加盟国では最も高い(筆者撮影)

今年5月には新しい施設をフル活用したダイヤに改正されるが、その際には市内を縦断する鉄道・テムズリンク線の列車が同駅に立ち寄るようになる。日立製作所が手掛けた高密度ダイヤに対応可能な運行管理システムが導入されることもあり、ピーク時には2~3分間隔で運転される見込みだ。

改札内にはすでにカフェやドラッグストアが設けられているが、改札外には食品スーパーが新たにオープンする。一方で、駅周辺の中小企業への配慮も行っており、「もし、地元市民がお店を開きたい場合は家賃の補助あり」というスキームを打ち出した。改装前の駅通路には、地元の人が開いた小さなコーヒースタンドもあったが、今回の新コンコース誕生を機に一掃されてしまった。こうした経営者が順次、新しい施設に戻ってくることを期待したい。

「ハリポタ」の有名シーンを再現

ネットワークレールによると、直営17駅に付設されているリテール施設からの売り上げは5年半続けて伸びており、昨年は過去最高の7億5000万ポンド(1143億円)に達したという。

キングスクロス駅は、ロンドン北部のターミナルの一つで、スコットランド方面に延びる東海岸本線(イーストコーストメインライン)の起点だ。ここに2012年、従来の伝統ある建物の西側に、斬新な現代建築の粋を集めた待合施設及びショッピング&グルメスポットを新たに開いた。これにより、同駅の売り上げは改装前と比べ2~3倍に伸びた。

キングスクロス駅では施設増設を機に、世界中から注目を浴びるスポットを新たに設置した。あのハリー・ポッターが同駅にある架空のホーム「9と4分の3番線」に向かう際、カートを壁にぶつけるシーンを再現できるスポットだ。カートが半分だけ壁にめり込ませてある一角には、映画のシーンを再現してカメラに収めようとする観光客でつねににぎわう。家族連れのお財布にも優しいように、同駅のグルメスポットには、値が張るハイエンドなレストランでなく、ややレベルは高めではあるものの、ファストフード店が並んでいる。

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