昨年のJRAの総売り上げと「お客さま総数」の数字を分析すると昨年末の結果があらためて見えてくる。2017年の売得金(総売り上げ)は2兆7476億6248万4800円で前年比で2.9%増。
このうち現金投票は9080億7233万6900円で前年比2.7%減。ネット投票は1兆8395億9014万7900円で5.9%増。このネット投票の数字に海外競馬の売得金101億7709万3100円は含まれていない。実に売得金の3分の2以上をネット投票が占めている。
中央競馬に参加したファンの合計を示すお客さま総数は延べ1億7772万4662人で前年比4.4%増。2008年の1億7768万0929人を上回る過去最高を記録した。
内訳は開催競馬場が617万5238人(前年比2%減)、パークウインズ(開催していない時の競馬場)が633万2647人(前年比1・3%減)、ウインズ(場外馬券発売所)は4607万1299人(前年比1・3%減)。これに対してネット投票は1億1914万5478人で前年比7・4%増だった。
ネット投票の伸びが顕著に
お客さま総数もネット投票が全体の3分の2を超えた。もちろん12月28日に時間をつくって中山競馬場やウインズに出掛けた人も多かったはずだ。だが、現状は全体の3分の2以上がネット投票の参加になっている。12月28日が仕事納めだった人もスマホで簡単に馬券を買うことはできた。
あらためて数字を見るとファンは手軽に競馬を楽しんでいる。東京大賞典もJRAのネット投票で買える。地方の交流重賞(中央、地方の所属に関係なく出走できる競走)はJRAのネット投票で売り上げを伸ばしてきた。東京大賞典の売り上げレコードの大きな要因でもある。だからこそホープフルSと東京大賞典は堅調に売り上げを伸ばした。
今回の有馬記念後の12月28日開催は、私たち伝える側が少し情緒的に反応しすぎたのだろうか。年末の風物詩として有馬記念が中央競馬の1年のフィナーレを飾る意味を大事にしてほしいと思う半面、これだけホープフルSと東京大賞典で売り上げがあればファンのニーズにも応えなければならないとも思う。年末の競馬は変わるのだろうか。これが定着するのだろうか。
追い風は吹いた。今後、12月28日が日曜日と重なる場合は有馬記念が28日でホープフルSは前日か同日開催か。これが新たな焦点になるだろう。ネット投票が競馬を、ファンの投票行動を確実に変えていることをあらためて感じた。
ただ、有馬記念の特別感を損なうことがあってはならない。有馬記念が特別なものだからこそ、年末の「祭り」も盛り上がる。JRAもそこは十分意識しているはずだ。そのことだけは注視し続けなければならない。
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