「バブル世代」が会社で煙たがられる根本理由 「氷河期世代」との相性は、とくに最悪だ

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――氷河期世代自身はどうとらえているのですか。

氷河期世代は慎重で堅実なタイプだ。バブル世代のように大風呂敷を広げるのは嫌いで、とかく着実に計画的に可能な線で物事を進めていく。そこが両世代の軋轢の原因だったりする。バブルがはじけて相当の年月が経つが、バブル世代の行動様式や思考様式はそう直るものではない。そういう世代がごそっといるのは、氷河期世代にとって厄介この上ない。

――実際の氷河期世代は「ワンピース世代」ともいえますね。

漫画『ワンピース』がよくとらえていると思う。氷河期以下の世代にファンが多く、その世代を理解するうえでのヒントになる。ひょうひょうと過ごしているように見えて、本当は熱いものを求め、深いところで仲間を大切にする共通性がある。一見、一匹おおかみ的な印象を抱かせるがそうではない。

――氷河期世代はナンバーワンよりオンリーワン志向?

採用人数自体が少なく、全員が幹部候補生として入ってきた優秀な人たちと見なされている。環境がいいだけで大量に入ってきたバブル世代とは違うとの見方をされた。バブル世代は実際には、入社数年後以降、ずっと不遇な状況が続いてきたのだが。

ここからは手本のない下山が待っている

――そして役職定年。

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バブル世代は組織の中で上に行けば偉いのだとの意識を変えなければならない。「下山」と書いたが、これまではただひたすら登り詰めるイメージで職業生活を終えたが、これからは登った後の下山がある。降りてきてどこで終わるか。その下山の仕方は習っていない。前の大量採用者たち、団塊の世代はいい状況で終わっている。手本にならない。自分たちで道を切り開くのが使命なのだ。

――世代的な強みを自身でも再認識するのですね。

バブル世代の特徴は人間関係がうまい、かつ楽観的。欠けているのは自己コントロール力だ。状況を冷静に見て、強みをレジリエンスに昇華していくといい。

――レジリエンス?

「逆境力」。元来の意味は、曲がったものが形状記憶で回復していくこと。もともと厳しい競争社会をくぐり抜けてきたバブル世代なのだから。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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