米「ネット中立性」規則撤廃は何をもたらすか 動画配信業者への影響は大きくない

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 12月15日、米連邦通信委員会(FCC)は、ネット接続業者に特定のコンテンツの遮断や速度制限、追加料金を課すことなどを禁じた「ネット中立性」規則を14日廃止したが、短期的には規則撤廃の影響は小さいとみられる。ワシントンの同委員会で14日撮影(2017年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

[サンフランシスコ 15日 ロイター] - 米連邦通信委員会(FCC)は14日、ネット接続業者に特定のコンテンツの遮断や速度制限、追加料金を課すことなどを禁じた「ネット中立性」規則を廃止した。

しかし業界関係者によると、ネットフリックス<NFLX.O>など動画配信サービス業者はネット中立性が導入される以前から通信会社に支払いを行っており、少なくとも短期的には規則撤廃の影響は小さいとみられる。

以前から特別な支払いを行っていた

ネット中立性規則撤廃により、コムキャスト<CMCSA.O>やベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>など通信回線を提供する大手通信会社は、大量のデータを送信する動画配信業者などから料金を徴収し、高速回線サービスを提供することが可能になる。このため、動画配信サービス業者などが規制撤廃に反対し、論争となっていた。

しかし業界筋によると、ネットフリックスやアルファベット<GOOGL.O>傘下のユーチューブなどストリーミングサービスを手掛ける大手は、以前から動画配信に当たりインターネット接続事業者(ISP)に支払いを行っているという。規模の小さい動画配信業者の多くは支払いを行っていない。

事情に詳しい筋によると、中立性規則が導入されてもこうした慣行は生き残っていた。中立性規則が廃止されても支払いに影響はないが、ISPが今回の規則撤廃に付け込んで将来、支払いの増額を求める可能性はある。

動画配信業界の元幹部は「ネット中立性のない時代からISPへの支払いは行われており、何も変わらない」と述べた。

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