木本:ということは、先生のおっしゃるようにあと2年もすると、バブルは一瞬にして終わるかもしれませんね。
中島:「バブルは破裂して、初めてバブルとわかる」といわれるので、断定はできませんが、その可能性が高いでしょう。高値で一生懸命買っている日本人は危ないなあと、特に高齢者の方が、マイニングの仕組みも何もわからずに、儲かるらしいと聞いて買っているようなので、危ないなと思っています。
木本:ビットコインを買えば、将来、不労所得で食べられるなんてうたい文句で誘うでしょう。
中島:そうなんですね。バブルの特徴は2つあると言われています。1つは、バブルは毎回違う顔でやってくるということ。不動産バブル、株式バブル、国債バブル、美術品バブルなど、いろいろなバブルがありますが、一度バブルになったものは警戒されて、しばらくはバブルになりにくく、ほかのジャンルがバブルになる。仮想通貨はバブルの洗礼を受けていないので、ひょっとするとバブルのニューカマー(新参者)になりかねない。
2つ目は、「専門家らしい人が値上がりを正当化するような理論を唱え出したとき」がいちばん危ないということ。特に専門家が「今回はこれまでとは違う」と言い出したときが危ない。
木本:確かに危なそうですね。
中島:日本のバブルの時も、東京は国際金融都市になるのだから、外資系の金融機関が大挙して進出してきて、高層ビルがたくさん必要になるので、もっと地価が上がると。そして、それを前提にすると「日本企業の株はもっと上がる」と専門家が言い出した。その頃がピークで、そこから10年以上、地価も株価も下がり続けた。ビットコインも、「世界を変える通貨になるのだ」(つまり、今回はこれまでとは違う)として、2020年までに25万ドルになるとか、50万ドルになるという説がネットで飛び交っていますが、同じような感じがしますね。
素人の参入も危ない兆候
中島:「いったん値上がりが見込まれると、そこに参加することが合理的とみなされる」というのがバブル期の特徴なんです。「なんでビットコインをやらないの」という風潮になってきていることに危うさを感じます。マスコミを見ても、ビットコインで資産が100倍になったとか、「億り人」というようですが、1億円儲けた人がいっぱいいるというような報道がなされており、これを見ると自分でも投資してみようかという気になりやすい。
そして、「素人が相場に入ってきたときが、相場の終わり」という有名な株式市場の格言もあります。1929年のニューヨークの株価大暴落の前に、ある資産家が靴磨きの少年から、「旦那、どの株が儲かりますか」と聞かれて、こういう素人が入ってくるようでは危ないと思って、株式を全部売ってことなきを得た、というエピソードがあります。日本でも「どうもビットコインは儲かるらしい」と、高齢者が説明会に行って買っているのは、靴磨きの少年が株式投資を始めているのに近い。
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