「たばこ休憩」を従業員に禁じることは可能か 公務員の場合、「税金の無駄遣い」との批判も

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健康増進法では、受動喫煙の被害における責任を、たばこを吸う人ではなく、その場所を管理する事業主としています。そのため、今や「職場では全面禁煙」が当たり前になっていますが、一方で喫煙者のために喫煙スペースを確保している企業が多いのも実情です。

分煙を徹底するために、喫煙場所をデスクから離れた場所に置くのは珍しくありません。そのため、「たばこ休憩」に要する時間もそれなりにかかり、一日に何度もあると、なぜ喫煙者ばかり休憩を多く取ることが認められるのか、不満を持つノンスモーカー社員もいます。

星野リゾートは喫煙者の不採用を明言

ホテル大手の「星野リゾート」は、他社に先駆け1994年から喫煙者の不採用方針を明確に打ち出し、現在も取り組みを続けています。その理由として、「ニコチン切れ」による集中力の低下や喫煙スペースの無駄、非喫煙社員の不公平感を挙げています。

これらが「企業競争力に直結する」問題として捉え、採用サイトでは喫煙者に対し「入社時にたばこを断つことを誓約して頂ければ、問題なく選考に進んでいただくことは可能です」と明記するといった念の入れようです。

「喫煙者を不採用とすることは、問題ではないか?」という意見もありますが、企業が誰を採用するかは、基本的に企業の自由といえます。「喫煙の有無」を採用の選考基準とすることは、法的に問題ありません。

募集・採用について差別に当たるものとして挙げられるのが、性別と年齢制限です。男女雇用機会均等法において、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とされています(同法第5条)。

また、労働者の募集・採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません(雇用対策法第10条)。例外的に年齢制限を行うことが認められる場合もありますが、具体的な事由が定められているため、都合のよい勝手な解釈で年齢制限を設けることはできません。

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