著作権法を変えかねない「AI自動生成」の衝撃

本格普及するとどんな法的問題が生じるのか

「生成フェーズ」と「利用フェーズ」

AIを活用したビジネスが様々な分野で本格化しようとしている中、政府もAIの利活用促進に向けて、様々な課題を検討している。現状で、AIを活用したビジネスを推進しようとした場合、法的に何が課題になるのか、今後、本格的に普及した場合、どのような問題が生じる可能性があるのか。AIと法律の問題に詳しい柿沼太一弁護士に聞いた。(編集部・新志有裕)

データを収集するうえでの法的ポイント

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

柿沼弁護士によると、AIとは「人間の知的活動の一部または全部をコンピュータで代替すること」で、情報を入力すれば、「判断モデル(学習済モデル)」が認識や予測、翻訳、推薦、コンテンツといったものを出力する。

その判断モデルを作る方法として非常にざっくりと分類すると3段階がある。まずは人間自身がアルゴリズムを作る第1段階だ。この段階では人間自身がアルゴリズムを設計するため人間の知見・経験を超えられないという限界がある。そこで機械学習を取り入れ、AI生成用プログラムが自動的に判断モデルを作る第2段階がある。もっとも機械学習の場合は特徴量自体は人間が設計する必要があったため精度向上に限界があった。そのため人間が行うしかなかった「特徴量設計」自体をコンピュータが自動的に行う「ディープラーニング」という第3段階へと進化している。

さらに、AIに関する法律問題は「生成フェーズ」と「利用フェーズ」に分けて考えるとよいという。データを収集して、機械学習やディープラーニングを通じて「学習済みモデル」を作るための「生成フェーズ」と、その学習済みモデルに対して、何らかのデータを入力して、アウトプットを生み出す「利用フェーズ」だ。

AIの法律問題というと、アウトプットされたものの権利関係(例えばAIコンテンツの著作権など)に注目が集まりがちだが、柿沼弁護士は「現在のところ『生成フェーズ』に関する相談を受けることが一番多い。特に、生成フェーズに関する問題の中でも、学習済モデルの権利帰属に関する相談、具体的には、データを提供する事業者と、データの提供を受けてモデルを生成する事業者とが異なる場合、どちらが学習済モデルに関する権利を保有するか、という点への関心が非常に高い」と話す。

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