フェイスブックで超多忙を自慢する人の心理

忙しさがステータスシンボルになっていた

つまり、アメリカ人パワーエリート層は、日本人並みに働きバチだ。金持ちほど、長時間働いているということになるが、かつては、「働かなくてもいいこと」こそが金持ちの特権だった。19世紀から20世紀初頭のアメリカの著名な経済学者であるソースティン・ヴェブレンは著書『有閑階級の理論』の中で、「金持ちはその暇と贅沢な消費を見せびらかすことで富を顕示した」とし、「暇」こそが権力と富の象徴、と洞察した。

ヴェブロンは見栄や虚栄の消費効果について分析し、見せびらかしたり、虚栄心を満たすための消費の対象となるもの、たとえば宝石などの場合には価格の上昇はかえって消費の増大を招くと主張し、「Conspicuous Consumption(見せびらかしの消費)」という言葉で一世を風靡した。同じように、「暇」も見せびらかすものであった。

ところが、現代ではその逆、「忙しさ」こそが見せびらかしの対象になる、という研究を、コロンビアビジネススクールのシルビア・ベレッザ准教授らが昨年12月に発表し、大きな話題となった。

つまり、宝石やブランド物、高級車などの「見せびらかしの消費」やゆったりとしたバケーションなどの「見せびらかしの暇」ではなく、「忙しいこと」がステータスシンボルであるということだ。

この理由について、研究では「忙しいということは、その人に対する需要が高いということを示す。有能で野心があり、人から望まれる資質を持っているということであり、ダイヤモンドや車や不動産といったものより、忙しいということのほうが希少価値を持っているということになる」と説明している。

「空港ラウンジカレー」投稿の深層心理

「忙しさ」自慢は持ち物自慢より、いやらしくないため、ついついやってしまうことが多い。その代表例がソーシャルメディア上にはびこる「出張自慢」ではないだろうか。

「××空港にチェックインした」「○○へ行ってきます」「△△に来ました」等々。筆者もしばしば投稿するが、日常の仕事にさして、面白い出来事もないので、出張という「非日常経験」についてならアップしてもいいだろう、という気持ちもわかる。しかし、その奥底に「忙しさ」自慢の心理がまったくないとも言い切れない気がする。

特に、「出張自慢」の極めつきは、「空港ラウンジカレー」である。空港の航空会社のラウンジでカレーを食べ、それをアップする人をよく見かけるが、「出張で忙しい」×「ラウンジを使える」=「よく出張に行っている」のダブルプレステージを知らず知らずに誇示している節がある。

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インテル中興の祖、アンディ・グローブ。数々の英断で、プロセッサー半導体市場で無双の企業を作り上げた。グローブの愛弟子である、インテル全盛期のトップが語る技術経営の神髄。