JR名古屋駅が進める「名古屋めし強化」の勝算

駅ナカにあふれる「みそカツ」や「天むす」

1987年に国鉄からJR東海(東海旅客鉄道)へと衣替えしたとき、名古屋駅ナカのグルメといえば、「日本食堂」や「レストランみかど」。当時の鉄道駅では定番のレストランが主体だった。地元の鉄道通のベテランは「当時の名古屋駅で名古屋めしと呼べるものは、きしめん、みそカツ、あとは売店で売っているテイクアウトの天むすくらいだった」と回想する。

では、いつ頃から名古屋駅は名古屋めしを強化するようになったのか。JR東海傘下で名古屋駅の店舗開発を担当するのが名古屋ステーション開発だ。その企画開発課の古谷野岐彦課長によれば、「正確な時期はわからないが、名古屋めしがメディアで注目されるようになってから少しずつ増えてきた」。だとすると、名古屋めしが全国区になったきっかけの1つである愛知万博が開催された2005年以降ではないか。

名古屋めしは有名店誘致でブレーク

誰もが知る名古屋めしの人気店は2010年に登場する。手羽先で有名な居酒屋「世界の山ちゃん」が立ち飲み店の営業を開始した(現在はリニア中央新幹線の工事に伴い閉店)。

「味仙」の台湾ラーメン。2015年に名古屋うまいもん通りの拡張に伴って誘致された(写真:JR東海)

ブレークしたのは、名古屋うまいもん通りが拡張された2015年だ。新店舗として、台湾ラーメンの「味仙」、あんかけスパゲティの「スパゲティハウス チャオ」、ひつまぶしの「まるや本店」といった名古屋めしの有名店を多数誘致。これによって、名古屋駅における名古屋めしの注目度が一気に高まった。

名古屋駅ナカのレストラン街はうまいもん通り以外にもいくつかあり、名古屋めしの店はあちこちに点在している。だが、名古屋めしを出す店を1カ所に集約したほうが、観光・出張客にとってはわかりやすいようにも思える。たとえばJR仙台駅には牛たんの専門店を集めた「牛たん通り」があるなど、地方の駅は郷土料理を出す店を1カ所に集めて、観光客の注目度を高めている。

あんかけスパゲティ専門店「スパゲティハウス チャオ」の看板メニュー「ミラカン」(写真:JR東海)

しかし、古谷野氏によれば「そうした考えはない」という。それは、名古屋駅周辺で働く会社員もターゲットにしているからだ。「今日は何を食べようか」と迷うことが多いビジネスパーソンにとっては、名古屋めしを1カ所に集約せず、あちこちに分散させておくほうが、選んでもらいやすいのだそうだ。

ちなみに名古屋駅には全国の人気ラーメン店を1カ所に集めた「名古屋・驛麺通り」がある。「昼は必ずラーメンを食べるという人は結構いる。そうした人向けにはラーメンだけのエリアを設けておくほうがよい」(古谷野氏)とのことだ。

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