長期金利が東京五輪にも反応しないワケ

市場動向を読む(債券・金利)

安倍首相は消費増税の負担軽減策をとりまとめるよう、指示した(撮影:尾形 文繁)

9月前半の長期金利は、少なくとも2つの上昇要因が発生したにもかかわらず、ほとんど反応を示さず、0.70%台で横ばい推移を維持した。以下ではその原因を長期金利の理論値の観点から考えてみた。

金利上昇要因のひとつは景気対策の大型化、あるいはあからさまな歳出圧力である。安倍晋三首相が10日の閣僚懇談会で、「消費税率を引き上げる場合には十分な対策が必要。デフレ脱却、経済再生と財政再建の両立の道筋が確かなものかを見極めて判断したい」と述べ、来年4月に予定される消費増税(税率を5%から8%へ引き上げ)の負担軽減策を今月末までに取りまとめるよう指示した。

上げ潮派である安倍首相の財政規律への懸念は?

政府はそれを受け、3%の増税分のうち2%分に相当する5兆円規模の大型経済対策を実施する方向で財務省などとの調整に入った。安倍首相は、増税幅を実質1%に削り込み、増税反対や毎年プラス1%ずつという“小刻み増税”を唱えているアベノミクスの指南役に配慮を示そうとしているかのようだ。

また、今次増税分はもともと膨張する社会保障関係費に充当され、財政再建の推進に使われるはずだったのだが、事実上、景気対策の公共事業などに流用される形になってしまった。「財政拡張などによる成長優先主義」という安倍首相の上げ潮派としての本音が、案の定、この土壇場で前面に出てきた格好である。債券市場では今後、国債増発による財政赤字の拡大懸念や安倍政権の財政規律に対する不信感が募っていきかねない。

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