存在感が薄れるニッポンブランド

今一度、企業の「本気度」が問われる中国市場

 日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。

見渡せば、強敵ばかり

中国に限らず、グローバル市場は広大で複雑です。その中では世界中から集まったライバル企業や商品がひしめき合っています。たまに東京に出張するとちょっと奇妙に感じるのが、道行くクルマのほとんどが日本車であることです。北京に戻るとそこはあたかも走るモーターショー。上はロールス・ロイスから下はチェリーQQまで、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、中国、日本を代表する各ブランドの車が華を競い合っています。 

スマートフォン市場に目を転ずれば、アップルiPhone5S、サムスンGALAXY 4、レノボK900 などグローバルブランドのフラッグシップ製品がしのぎを削っています。化粧品市場で日本企業が戦う相手は、ロレアル、ランコム、エスティローダーなどです。彼らは、巨額の投資で物量作戦を展開しており、店舗数を増やしつつ派手なテレビCMを投下して売り上げを伸ばしています。GDP世界第二位を誇る巨大市場の中で、日本企業がレノボやP&Gやネスレやロレアルに伍して戦うにはどうすればいいのでしょうか?

ニッポンブランドの数少ない成功例であるキヤノンは、流通や広告に大胆な投資を行なってデジカメ市場シェアナンバーワンの地位を築きました。日本を含むグローバルでは「真面目なテクノロジー企業」として評価の高いこのブランドが、ここ中国の若者の間では「おしゃれでスタイリッシュ」なイメージを持たれています。優れた商品デザインに加えて、洗練された広告クリエーティブや、華やかなPRイベントなど、積極的なコミュニケーション展開の成果です。

また、資生堂「Aupres (オプレ)」は20年の歴史を持つ、日中JVの成功事例です。資生堂の技術で開発した中国専用ブランドを、北京の「麗源化粧品」とのJVを通して市場導入しています。全国1,000以上の百貨店やモールに専売カウンターを展開し、有名女優「孙俪(スン・リー)」を起用した広告で中国人に親しまれています。

 一方、売り上げが伸び悩み、それに伴ってブランドの存在感が薄れている企業は、利益の減少がそのまま投資の減少につながって、負のスパイラルにはまっています。その結果、販売促進やコミュニケーションの予算が業界トップ企業の10分の1から20分の1の規模になってしまい、「イメージが希薄になる」「売り負ける」現象が起きています。

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