首相も視察した資生堂の企業内保育所とは? 10年先を行く、資生堂の育児支援制度

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女性の管理職比率も上昇している。第1次行動計画がスタートした2005年の女性管理職比率は11.7%であり、第2次行動計画終了年の2009年も18.7%だったが、第3次行動計画に入ってから20%台になり、2013年は25.6%になっている。

政府は2020年までに女性の管理職比率を30%にすることを目標に掲げているが、資生堂ではそれ以前に30%になることは間違いない。

10年を迎えたカンガルーム汐留

――私企業が事業者内保育所を持つ例はまれです。カンガルーム汐留の設立、運営実態についてお話しください。

カンガルーム汐留を開設したのは2003年9月で、この8月でちょうど10年を迎えた。資生堂が開設したが、保育環境の整備が企業の責任だと考えているわけではない。本来は学校、病院などの施設と同様に行政が公助として整備すべきだ。しかし保育所が足りず、待機児童が出ている現実に対し、緊急回避的なセーフティネットとして開設した。

場所は汐留オフィスから数百メートルしか離れていない汐留FSビル1階。対象は0歳児から小学校入学前の乳幼児で、受入れ定員は34人だ。また資生堂だけでなく、地域の電通、慈恵医大、朝日新聞社、日本たばこ産業、共同通信の5社も各社3人の枠を持っている。

定員と言ったが、つねに34人の乳幼児がいるわけではない。例年4月は年間で最も少ない人数でスタートし、時間の経過とともに増えていき、翌年3月になると定員数に近づくというパターンだ。一般の保育所は4月に一斉に入所し、翌3月までの増減は少ないが、事業所内保育所は年度途中に母親が職場復帰し、一般の保育所に入所できない乳幼児を受け入れるので、年度末の3月にかけて増加する。

カンガルーム汐留が開いているのは、資生堂本社の営業日の朝8時から夜7時、延長保育は夜8時まで。スタッフは保育士7人、看護師1人、管理栄養士1人の計9名だ。

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