平均38万円!「塾代が払えない」問題の処方箋 親の所得による「学習格差」をどう縮めるか
「塾」は欧米諸国にはほとんど存在しない東アジア特有のシステムであるが、日本では、中学3年生の実に6割以上が通っている。一方で、経済的理由から塾に通えない子もおり、学校外で受けられる教育の格差が広がっている。
そうした格差を埋めるため、NPOが東京都渋谷区と連携し塾の費用に使える「スタディクーポン」を提供して、貧困家庭を支援しようという動きもある。親の収入によって塾などに使えるおカネはどれくらい違うのだろうか。学校外教育による格差をどう考えるべきだろうか。
格差研究の第一人者である橘木俊詔・京都大学名誉教授が、こうした塾や習い事といった「学校の外」での教育による格差に焦点を当てて分析したのが『子ども格差の経済学――「塾、習い事」に行ける子・行けない子』である。ここでは、塾に通える子と通えない子の格差について、本書の内容を一部編集のうえ掲載する。
中3は6割以上、小6は半数近くが塾通い
日本の小・中学生の通塾率は、1970年代に比べ明らかに上昇している。1976年には中学3年生が4割弱、小学6年生が3割弱だったのに対し、2012年では、中学3年生では6割強、小学6年生では5割弱に上る。
中学3年生の通塾率の高さは、主に高校受験対策と説明できる。全体数として比較すれば小学生の通塾率は中学生の通塾率より低く、小学生に関しては、予習・復習の指導を目的とした塾通いが最も多い。しかし進学中心塾への通塾率もかなり高い。これは東京・京阪神を中心にした中学入試への準備として塾に通う児童の多いことの反映である。
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