日本の「地価崩壊」はもう絶対に避けられない つかの間の地価上昇はやがて終焉を迎える
神奈川県南東部の三浦半島に位置し、横浜や都心のベッドタウンとして栄えてきた横須賀市。京急本線の終着駅である浦賀駅から歩いて7分ほどの細い坂道の階段を上る途中に、雑草の生い茂った空き地がある。
住宅街にあるこの空き地は、実は土地の所有者がわからない。ずいぶん昔にここに土地の登記をした会社は、すでに解散していた。2年前まで立っていた空き家の表札に書かれていた名前の人物は所有者ではなく、賃貸していたとみられる。空き家は一部が崩れかけた危険な状態だったため、市が公費で強制撤去したのだった。
所有者不明土地が全国各地で問題に
全国各地で所有者不明の土地が問題を引き起こしている。耕作放棄された農地を活用できない、新たな道路を通すことができない、崩れかかった空き家をすぐには撤去できない――。
所有者がわからない土地は、さまざまな問題を引き起こす。地方の山林や農地だけでなく、都市部の宅地でも所有者不明の土地は増えつつある。「どんな人が持ち主だったのか、周辺で聞き取りをしても判明しない。近所付き合いが少なくなっている都市部は、隣に誰が住んでいるかわからないことすらある。この問題は、田舎よりも都市部のほうが深刻になる」(自治体の担当者)。
2008年の1億2808万人をピークに、人口減少が進む日本。その余波は不動産にも押し寄せる。『週刊東洋経済』は10月7日発売号で「地価崩壊が来る」を特集。地価下落が待ち受けるこれからの不動産をめぐる問題と、今後の対応策を総点検している。
9月19日に発表された2017年の基準地価(7月1日時点)は、東京や愛知、福岡といった大都市のある都県では商業地・住宅地ともに前年比プラスだった一方、38の道府県で住宅地の下落が続いた。下落幅が最も大きかったのは人口減少率が全国トップの秋田県。大都市圏とそれ以外の地方とでの地価の二極化が、表面化している。
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