幼児教育「無償化」より大事なのはその内容だ ヘックマンは無料にせよとは言っていない
大人になってからでなく幼少時に集中分配せよ
貧困に対処し社会的流動性を促進するために、所得の再分配を求める声は多い。
だが、最新の研究は、再分配はある時点では確実に社会の不公平を減じるものの、それ自体が長期的な社会的流動性や社会的包容力(訳注:社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支え合って生活していこうという考え方)を向上させはしないと主張している。
事前分配──恵まれない子供の幼少期の生活を改善すること──は社会的包容力を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高めるうえで、単純な再配分よりもはるかに効果的である。事前分配政策は公平であり、経済的に効率がいい。
アメリカではスキルの問題が増大している。これは社会的分極化を生み、機会や成果の不平等を大きくする。
アメリカの若者が大学を卒業する割合は上昇しているが、同時に、高校を中退する割合も上昇している。スキルの問題がもたらすもう1つの結果は、経済生産性の鈍化だ。現在の子供向けの社会政策は認知能力(訳注:IQや学力テストなどで測られる能力のこと)の向上に集中している。だが、人生で成功するには学力以上のものが必要だ。
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