「治らない」から「治る」に、肝炎撲滅への挑戦

いま、増加する新たな肝障害のリスクとは

「C型慢性肝炎の根本治療はウイルスを排除することです。1989年にC型肝炎ウイルスが同定されて、1992年にインターフェロンが治療薬として登場しますが、初期のインターフェロンでウイルスを完全に排除できる人は少なかったのです。インターフェロンはうつ病や体重減少などの副作用も強く、さらに注射薬ということもあり患者さんには治療が生活の大変な負担となっていました。その後、画期的な経口抗ウイルス薬が登場し、現在では副作用によりインターフェロンの使えなかった患者さんでもウイルスを排除することが容易にできるようになっています」と茶山氏が解説するように、近年におけるC型肝炎患者の治療環境は劇的に改善され、QOL(生活の質)も確実に向上していると言えるだろう。

肥満の増加で注目されているNASH

このようにC型肝炎ウイルスは、新しい薬剤により排除することが容易にできるようになり、肝がんのリスクは減少しているように見えるが、その一方で新たな肝がんのリスクが注目されている。

広島大学大学院
医歯薬保健学研究科
消化器・代謝内科学教授
茶山一彰氏

それはウイルスにもアルコールにもよらない肝炎で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれている。茶山氏は「NASHの原因はカロリーオーバーによる肥満に伴う脂肪肝です。いわば生活習慣病のようなもので、過度の栄養摂取と運動不足がその主な原因。脂肪肝になると肝臓内で慢性の炎症が起こり、肝組織に繊維化の起きるNASHへと移行するといわれています。日本のNASH患者数は推定で200万人ともいわれ、予備軍も含めると1,000万人とも見られていて、これは糖尿病患者数にも匹敵します」と警鐘を鳴らす。

C型肝炎治療の進歩で現在肝がんの患者数は減少傾向にあるが、NASHの増加は将来の肝がん患者数を増加させることが予測され、社会全体に対する疾患啓発と早期の肥満対策が必要である。NASHの患者数は非常に多く、すべてをスクリーニングすることは医療経済的に困難だ。「もし、人間ドックや検診で脂肪肝を指摘された方は、将来の肝がんリスクを真剣に考えて、カロリー摂取を控えて生活習慣を見直していただきたい」と茶山氏は生活習慣の改善を訴える。

患者さんの生活の質を高める必要性

最後に茶山氏は、こう締めくくる。「ウイルス性肝炎は、つい最近まで人の生命を脅かす疾患でした。これまでは治療しても治らない患者さんも多く、また治療可能な患者さんも強い副作用で生活の質を著しく損なうなど負担の大きな疾患でした。しかしながら、治療薬の進歩によりB型肝炎はコントロールが可能になり、また、C型肝炎についてもほとんどの患者さんでウイルスの排除が可能になり、今後患者数は減少して行くと考えられています。この点で製薬企業の果たしてきた役割は非常に大きいと言えます。その一方で、慢性肝炎で考えればNASHのような、治療満足度が低い疾患領域も増えつつあります。私たち専門医は、まだ詳しくわかっていない疾患の病理・病態を解明し、製薬企業と共同研究を推進することにより、より多くの患者さんの声に応えていかねばなりません」

まだまだ、いたるところにあるアンメット・メディカルニーズ。新しい薬剤の登場によって、治療の進歩を実現させる製薬企業へ、今さらなる期待がかかっている。

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