「治らない」から「治る」に、肝炎撲滅への挑戦

いま、増加する新たな肝障害のリスクとは

「近年、がん治療は急速に進歩していて、肝がんも5年生存率は50%程度にまで上昇しています。しかし、発症部位によっては早期発見により完治するものもある一方で、肝がんは再発も高頻度に見られる疾患です。肝がんの多くは慢性肝炎から肝硬変を経て発症していることから、肝炎の予防と治療は将来の肝がんリスクを抑制することにつながり、公衆衛生あるいは医療経済的観点からその推進が望まれています」と茶山氏は肝炎治療の重要性を述べる。

慢性肝炎は肝がんの最大リスク

「肝炎はその原因からウイルス性と非ウイルス性に分けられ、ウイルス性肝炎はさらに原因ウイルスの種類からA型、B型、C型、D型、E型に分けられます。A型、E型は経口感染で、A型肝炎ウイルスを含んだ食品を摂取することによって感染します。B型およびC型肝炎は血液感染でありウイルス保有者の血液や体液に接することによって感染します。このうち慢性化して肝がんのリスクとなるのは主にB型とC型肝炎です」

一般的にB型肝炎に感染すると、症状が現れないまま治癒する(不顕性感染)場合と急性肝炎を発症する場合に分かれる。B型の急性肝炎は数カ月以内にウイルスが排除され治癒するが、そのうち1~2%は死亡率の高い劇症肝炎を発症することもあり、B型急性肝炎を発症した場合は注意が必要だ。

一方、慢性肝炎に移行する可能性については、「出産時の母子感染があります。出産時および乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染すると、生後数年~10数年は肝炎を発症しませんが、B型肝炎ウイルスは体内で共存しています」と茶山氏は指摘する。思春期を過ぎて免疫力が高まると、ウイルスを異物として認識することで、免疫細胞がウイルスの存在する肝細胞を攻撃し、肝炎を発症することになるのだ。そのうち80~90%の人は、一過性の肝炎から肝機能の安定したウイルスキャリアへと移行し、10~20%の人は慢性肝炎へ移行するといわれる。

「B型慢性肝炎の患者さんからウイルスを完全に排除することは現在の治療技術ではできません。治療はインターフェロンや核酸アナログ製剤を使用してB型肝炎ウイルスの増殖を抑えることによって肝炎を沈静化させるのですが、インターフェロンでウイルスを沈静化できる患者さんは30~40%であり、副作用のために使えない人も少なくはありません。核酸アナログ製剤は経口薬でインターフェロンに比べれば使いやすいのですが、飲み続けなければならないことと、耐性ウイルスが出現すれば薬が効かなくなることが問題です。現在は2種類の核酸アナログ製剤を併用することにより医療成績は上がっていますが、更なる治療薬の開発が期待されています」と茶山氏は将来に期待する。

治療薬の進歩でウイルス排除が容易になったC型肝炎

C型肝炎は感染者の約70%が持続感染になる。持続感染では自覚症状がほとんどないために、検診で指摘されたりして感染がわかっていても放置する人が多いのが現状である。日本では約100万人のC型肝炎ウイルスキャリアがいるといわれていて、持続感染者の多くは、30~40年で慢性肝炎から肝硬変、そして肝がんへと移行する。そのため肝がんを予防するには、慢性肝炎を治療しなければならないのである。

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