希望の党「政策協定」に滲み出た低すぎる品位 第9項目に「公認が欲しければカネを出せ」

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そもそも「立憲民主党」は2016年3月に民主党と維新の党が合流して党名を変える時、最有力候補だった名称。結果的にはネット投票により維新の党側が推薦した「民進党」に決まったが、その決定過程に不満を持つ関係者は多かった。よって国会議員の間でも「民進党」の党名はおおむね不評で、党勢の衰退の一因とする人もいたほどだ。

「立憲民主党」の略称は「民主党」。これは、かつての党名と同じだ。選挙間近の新党結成ゆえ、長年親しまれた名称にしたのだろう。

そして枝野氏には「積み重ねた民進党の理念や政策は、自信を持っている。これを国民のみなさんに訴えて、選挙を戦う」と意気込んだ。つまり、枝野氏には民主党・民進党の正当な後継者との自負がある。2日午前にはさっそく連合の神津里季生(こうづ りきお)会長と面談し支援を求めた。「『是非ご支援をいただきたい』と言い、賛同してもらった。そういうふうに理解している」(枝野氏)。

今回の総選挙の目的は安倍政権を倒すこと。枝野氏は「それをやらないと先に進まない」と断言する。

続々と立憲民主党に合流

そんな枝野氏の姿を、会見会場の後方で眺める2人のテレビ業界出身の参議院議員がいた。神奈川選挙区の真山勇一参議院議員と長野選挙区の杉尾秀哉参議院議員だ。

真山氏は筆者の電話取材に対し、「立憲民主党に参加するかどうかはまだ決めていない」と答えた。真山議員だけではない。他の多くの参議院議員も、今後はまだ未定とのこと。だがすぐに選挙がない参議院はともかく、選挙が間近に迫る衆議院はそうはいかない。無所属で戦う宣言をしていた逢坂誠二前衆議院議員は、さっそく合流を表明。赤松広隆元農水相や阿部知子前衆議院議員なども参加を表明している。

かたや、野田佳彦元首相や岡田克也元副総理は、次期衆議院選では新党に合流せずに無所属で出馬を宣言。彼らは選挙に強く、独自で勝つ見込みは十分。よって政党の看板に頼る必要はない。選挙後のことは明かされていないが、おそらくは立憲民主党に合流するのではないか。意外と立憲民主党は、大規模なものになるかもしれない。衆議院で希望の党から排除された人たちに参議院のメンバーを加えると、50名以上は集まる可能性がある。

日本共産党の志位和夫委員長は立憲民主党の結党を受けて、「共闘の大義に立つ方々の動きを歓迎します。逆流を乗り越えることができれば、市民と野党の共闘はさらに強く、確かなものになることは間違いありません。ここが正念場です」とツイッターに記している。そもそも野党が奪い合うのは浮動票と反自民党の票で、政府自民党・公明党の固定支持票は始めから野党には投じられることはない。3極となった今、風はどの極に吹くのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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