テレビの「苦肉の策」にガッカリ感が募る理由 「チャンネルを変えさせまい」はバレている

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そもそもフライングスタートという策は、「テレビをつけているのが前提」「ザッピング好きな視聴者に向けたもの」であり、ネットが普及し、エンタメやレジャーが多様化した現代にはマッチしていません。TBSの決断は、今秋以降に支持を集めるのではないでしょうか。

「バラエティ偏重」が若者のテレビ離れに

さらに近年、民放各局がチャンネルを変えられないために行っているのが、プライムタイムのバラエティ特化と長時間特番化。これ以上の視聴率低下を避けるために、「似た形のバラエティを3~4番組続けて放送する」か、「レギュラー番組を2~3時間の特番にして週替わりで放送する」か。どちらかの方法を取っているのです。

前者は、日本テレビが日曜夜に放送する「鉄腕DASH!!」「世界の果てまでイッテQ!」「行列のできる法律相談所」「おしゃれカンケイ」の成功が大きいでしょう。日本テレビは他の曜日もバラエティで固めて視聴率トップを堅持しているため、他局もその傾向を強めています。

すると、テレビ欄のプライムタイムはバラエティばかりで、ドラマ、スポーツ、音楽、アニメなどの番組が深夜に追いやられるばかり。実際、私が取材した若者たちは、学校、塾、バイトなどから帰ってきたあと、「テレビは似た番組ばかりでつまらないから、ネットを見ている」と言っていました。「若者のテレビ離れは、民放各局が自ら促している」という一面もあるのです。

一方、長時間特番の狙いは、「番組のファンを2~3時間独占したい」から。「本来1時間のレギュラー番組を特番として週替わりで放送する」という策が、民放各局で定着しました。ただ、視聴者にしてみれば、「2~3時間同じ番組を見せられる」束縛された状態ともいえます。2~3時間続けて見るのは疲れるうえに、週替わりなので「2~3週間に1度しか見られない」というケースも多いなど、番組のファンですら特番化を喜んでいないのが実情です。

なかでも批判が目立つのは、名ばかりの合体特番。「前後の別番組を合体させて、“長時間特番”風のタイトルをつけているものの、実際は2つの番組を順番に放送しているだけ」という安易な策があるのです。

実際、今月放送される番組には、「人生が変わる1分間の深イイ話×しゃべくり007合体SP」(日本テレビ系)、「生き物にサンキュー!!&アイ・アム・冒険少年合体SP」(TBS系)があります。

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