日産は新型リーフで「EV盟主」の座を守れるか 儲け出にくいEV、中古車価格も依然低いまま

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トヨタ自動車<7203.T>は昨年末にEV開発組織を新設、19年ごろの中国での生産を検討中だ。マツダ<7261.T>とEVの共同開発も進める。初の量産型HV「プリウス」開発責任者だった内山田竹志会長は8月のイベントで、HVは「電動化技術全ての要素を持っている」とEV開発にも自信をみせた。

電池劣化と対応への不信、低い中古車価格

リーフには中古車価格の低さも影を落とす。複数の旧型リーフ購入者が電池の劣化、その結果短くなる航続距離への不満を口にしており、日産の電池修理・容量保証サービスも「不誠実」との声が多く上がる。

ある男性ユーザーは「リーフ以上に楽しい車に出会ったことはない」というが、同時に「電池の劣化に苦しめられ、保証の面で日産に裏切られた思いが強い」とも訴える。そうした声が中古車価格にも影響し、「中古車価格は他の車に比べて飛びぬけて低い。買うなら中古。新車で買うつもりはまったくない」と言い切る。

日産の坂本副社長は新型リーフの電池の寿命について「初期型に比べると飛躍的に上がった。容量減少、性能低下は半分以下に減ってきている」とし、旧型で起きた問題は新型では解決できるとみている。セルの劣化がすぐ判明できるシステムも開発したという。

EV需要拡大に伴い、現在主流のリチウムイオン電池に使われるコバルトなど制約のある電池の素材コストがかさむ懸念も出ている。坂本副社長は、素材調達も戦略を立てており、性能向上も実現できるよう材料構成を変える研究開発なども進めており、「あらゆる将来に向けて成果が出るよう手は打っている」と話している。

電池の性能向上は各社共通の課題。トヨタが航続距離や充電時間、容量などを大幅に改善できる全固体電池を開発中だ。他社で大きな技術革新が起きれば、EV市場の勢力図が一気に変わる可能性がある。

(白木真紀 編集 橋本浩)

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