ウォンテッドリーの「批判記事排除」は問題だ ネットでは「もみ消し」などできないのに…

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3月に行われた「SLASH」に登壇したウォンテッドリーの仲暁子氏。上場前の大切な時期に自らトラブルを巻き起こしてしまった(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

SNSベースの求人サービスを運営する「ウォンテッドリー」(9月14日東証マザーズ上場予定)が、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく検索結果からの除外申請(テイクダウン)を濫用しているとして、インターネットコミュニティ上での批判が集まっている。

批判が集まるのは当然。テイクダウンが申請・実施されたウェブページが、同社の株式公開に関して疑問を呈した批判的内容だったためだ。同ページへの検索結果だけでなく、該当ページへのリンクを張ったツイートなども、拡散力のある主なものは除外申請が行われた。このことから、同社の上場に対して疑問を呈する意見を封殺する動きなのではないか、との声が高まったわけだ。

2つの教訓

いわゆる炎上案件ではあるものの、これら一連の動きはインターネットにかかわるすべての人々に対し、多くの教訓を示している。ひとつはDMCA濫用についての注意喚起だ。もうひとつはネット時代におけるレピュテーション(信用)は失うと取り戻すのが難しいということである。

まずは「DMCAルールの濫用」と批判されている件について考えてみたい。

DMCAでは著作権を侵害しているコンテンツについて適切な申請を行うことで、ネット検索から除外することができる。本来の目的は著作物保護であるが、ウェブページのごく一部にでも著作権侵害が認められれば、そのページ全体が検索結果から除外される。

この仕組みをSEO(検索エンジン最適化)テクニックと併用し、自社にとって都合の良い結果ばかりを上位に表示させ、都合の悪い結果を除外するサービスを提供している企業もある。

この仕組みが日本でもネットユーザーの中で広く知られるようになったのは、昨年春にタイの王室保養地ホアヒンビーチで、社員旅行の際に集団で全裸となって乱痴気騒ぎを引き起こし国際的な批判を受けた日本企業のDYMが、名指しで自社を批判するサイトを次々に検索除外したことがきっかけだった。

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