天才プログラマーが予測する「AIが導く未来」 人間の「なんとなく」は合理的に判断される

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――そこにAIが入ると……。

「あなたに合っているのはこれこれという会社ですよ」というふうにAIが教えてくれれば、まったく知らない企業でも学生は「とりあえず受けてみようかな」と思うでしょう。さらに、「この会社にあなたが入社できる確率は80%で、5年後の年収はおそらく800万円」とまで示されたら、学生にとっては占い以上の判断材料になる。

すべてを明らかにすることで選択肢が見つかる

――そう考えると、結婚紹介所なんていうのもAIが活用できそうです。

できるでしょう。やり手の仲人おばさんが無理やり男女をくっつける、みたいな機能はさすがに難しいけれど、仲人おばさんが持っているセンスをディープラーニングが学習することはできる。

だからマッチングの精度を高めるために、人間が自分の情報をAIに包み隠さず見せる必要が出てくる。自分を偽らず、すべてをAIに明らかにすることではじめて、ぴったり合う選択肢が見つかるのだから。

――自分の全てをコンピュータに開示するほうがメリットがあるとなると、プライバシーの感覚が変わりそうです。

全然違ってくると思いますね。

コンピュータが人間でも難しいセンスや感覚を持つ時代が到来している(撮影:梅谷 秀司)

――「フェイスブックにプライベートについて書くのは怖い」という人はいなくなる?

フェイスブックが気持ち悪いのは結局、出口が広告しかないからだと思います。これは広告のあり方が大きく変わっていかなきゃいけない。なぜなら、本来だったら人と商品をきちんとマッチングしなきゃいけないのに、実際には見せるべきでない人に見せちゃっている広告が山ほどありますから。アダルト広告を小学生に見せるのか、というわかりやすい問題から、どんなに頑張っても収入的に買えない人に高級車の広告を見せるのか、という問題まで。

それから、一度何かを検索すると、どのサイトを見てもその商品のターゲティング広告が出てくるのも何だかな、ですね。

――「その商品、持ってるっちゅうねん!」とツッコミたくなります。

そうそう。アドテクノロジーがまだ中途半端なんですよ。アドテクはおカネに直結しているから、1回ある方法が有効だとなると、それをみんながしつこくやるんですよ。テレビCMのGRP(グロス・レーティング・ポイント、延べ視聴率)が600だったらモノが売れるという通説もそうでしょう。

ここにAIを使ってもう少し賢くできれば、「買ったっちゅうの」という広告がなくせるだろうし、年収に合わせて見せることもできるでしょう。

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