「教育困難大学」がPR活動に躍起になる事情

高校に「どぶ板営業」をかけさせられる教職員

「大学は学問を探究する場所」という建前は、今の学生に通じるでしょうか(写真:CHIRO / PIXTA)

「なんで、教員がオープンキャンパスの度に、『客引き』まがいの行動を要求されなくてはいけないんだ?」

これは、筆者がよく知る大学教員の嘆きである。彼が所属する大学は、やはり、いわゆる偏差値が低い「教育困難大学」だ。

夏休みは、オープンキャンパス最盛期

学生の募集がうまくいかないことに悩むこの大学では、高校生の夏休み期間に、5回オープンキャンパスが予定されており、すでに4回実施されている。夏休みは、各大学のオープンキャンパスの最盛期だ。大学や学部ごとに行うものだけでなく、大都市圏では大手教育関連企業が主催する合同進学説明会も行われ、1回で数万人を超える入場者を集めるイベントもある。

先日、NHKの「ニュース7」でも、オープンキャンパスや大学合同説明会について取り上げられていた。番組内では、近年、オープンキャンパスの必要性が高まった理由について、大学の学部・学科が細分化されて、そこで行われる学びの内容が非常にわかりづらくなったためと分析されていた。さらに、在校する大学生が高校生に語る機会をつくると、大学生活のイメージがつかみやすくなり、入学後にスムーズに順応できるようになるといったメリットが報告されていた。

しかし、このような目的を達成できる大学は、知名度があり、受験偏差値も高いごく一部の大学だけである。それ以外の多くの大学にとっての本音を言ってしまえば、オープンキャンパスの目的は学生の集客、つまりPRだ。

読者の方々も新聞、雑誌、電車の吊り広告、駅のコンコースなどで大学の広告をよく見かけることだろう。まだ少数の大学ではあるが、ラジオやテレビ、インターネットでもPRを行う大学も最近は出てきている。これらの広告を出すのには多額の費用がかかるので、広告をよく見かける大学は、どこも資金が潤沢だ。

しかし、学生が集まらず資金に余裕がない大学は、新聞やテレビなどに広告を打つことができない。そもそも知名度がないのだから、インターネット上に広告を出しても、よほど人目を引く内容でなければクリックしてもらうことも難しいだろう。

そこで、日ごろ大学教職員が高校を一校一校回り、生徒にオープンキャンパスに来てもらえるようにお願いする広報活動を地道に続ける。この活動を「昔ながらのどぶ板営業」と自嘲ぎみに語る大学教員もいる。

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