安倍改造内閣に冷ややか、支持率回復は困難 禅譲をにらんだ「岸田シフト」には関心も
[東京 3日 ロイター] - 安倍晋三首相は3日、内閣改造・自民党役員人事を行ったが、金融市場は冷めた反応をみせた。手堅い布陣だが新味に乏しいとの声が多く、日本株は小幅安。支持率回復の決め手にはならないとみられており、解散リスクも依然くすぶる。一方、市場が関心を寄せているのが岸田文雄・新政調会長が率いる岸田派の勢力拡大だ。禅譲をにらんだ人事との思惑から同氏の発言に対する注目度が増している。
市場は支持率回復に期待薄
第3次安倍第3次改造内閣に対する3日の東京市場の反応は芳しいものではなかった。ドル/円<JPY=>は110円台でのこう着が続いたが、日経平均<.N225>は小幅安ながら一時2万円を割り込んだ。
海外勢の日本株売りが強まったというわけではなく、国内勢の利益確定売りが中心のようだ。しかし、東証1部売買代金は2兆円前半。「少なくとも内閣改造を好感した海外勢の日本株買いはみられていない」(国内大手証券の株式トレーダー)という。
市場での反応が鈍い理由の1つは、新味に乏しいことだ。前閣僚の舌禍事件などを踏まえてか、主要ポストに閣僚や党要職の経験者をあてる安定重視の陣容となったが、逆に「新味に欠ける」(岡三オンライン証券・投資戦略部部長の武部力也氏)と受け止められてしまった。
さらに安倍内閣の支持率低下の一因は、森友学園や加計学園などの問題だが、むしろ内閣改造は「こうした問題から目をそらすために実施したのではないか」(国内シンクタンクのエコノミスト)と疑う声も出ている。
市場が注目する改造後の内閣支持率も「急に高まるとは思えない」(SMBCフレンド証券チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏)というのが、市場のほぼ共通認識。支持率低下にともなう政治の不安定化というリスク要因が払しょくされなければ、海外勢による積極的な日本株買いは期待しにくい。