稲田氏と蓮舫氏、「同時辞任」の偶然と必然 未来の女性首相候補は「忠実な尻尾」となった

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7月27日にそれぞれ辞任会見を開いた(写真:日刊現代/アフロ)

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7月27日木曜日、世間ではそろそろと夏休みを謳歌し始めるビジネスマンも出てくるころ、朝からニュース界隈が騒がしかった。そうこうするうちに飛び込んで来たのは「民進党蓮舫代表、辞意表明へ」、それから数時間もしないうちに「稲田朋美防衛大臣、辞任か」と来て、メディア関係者には何とも忙しい1日だった。

春以来の失言、失態続きにもかかわらず「安倍さんの秘蔵っ子」として絶対に守られて来たはずの稲田氏辞任は、政権としては痛手の大きい”挫折”。組織レベル、個人レベル問わず自民をめぐる細かなスキャンダルが最近とにかく数撃たれ、与党内でも支持率低下への不安が高まる中、8月の内閣改造まで待てないとの意見が強くなってここへ至った。最後のほうは稲田氏の地元でも不支持感情が広がる状態となり、メディアは”チリツモ”で結果を引き出した。

リベラルメディアのみならず保守メディアまでが手のひらを返して参戦していた稲田叩き、そして特に右派による二重国籍問題追及の手が緩められることのなかった蓮舫叩き。それらが奇しくも同時期に「結実した」とでもいうべき事態に、新聞・週刊誌・テレビ・ネットなどそれぞれが攻撃を続けていたメディア戦が一斉に「撃ち方やめ」となった瞬間を見た思いだった。

追い込まれた「秘蔵っ子」

この春、稲田氏は常に話題のどこかにいた。南スーダン国連平和維持活動(PKO)をめぐる国会答弁や森友学園・籠池理事長との関係をめぐる答弁の撤回と、続く不自然な釈明の繰り返しに、保守系メディアまでが怒り心頭となって「防衛大臣不適格」と稲田批判のキャンペーンを張るほどだった。

だが稲田氏は出自からして安倍首相肝いり。政界入りしたのは、安倍首相本人からスカウトされたのがきっかけだった。「国防」スタンスに齟齬のない安倍チルドレンの筆頭、そして将来の女性首相候補として、そのキャリアや政界内の人望に比して過保護なまでに守られてきたとの感がある。

次ページ稲田氏辞任は傷が大きく深くなってからだった。
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