パリっ子の社交性は「毎朝のパン買い」で育つ

バカンスで閑散の8月でもパン店はやっている

フランス人の高い社交性や粋な会話術の秘訣は、毎日のパン屋さん通いにあるかもしれません(写真: wavebreakmedia / PIXTA)
“パリで食べるパンは特別なんだ。小麦、塩、イースト、水。そしてこのパリの空気が原料になるからさ”
~ピシャール氏 パン職人”

 

パリの市民は毎日パンを買いに行きます。なんといっても、パンは出来たてに限ります。日本ではイギリスから入ってきた柔らかい食パンがおなじみですが、フランスパンといえばバゲット(棒の意味で、複数形は”お箸”の意味にもなる)。硬い皮に包まれた柔らかいふかふかのパン生地の、出来たてのおいしさといったら、beyond descriptionです。朝夕2回パン屋(ブランジェリーと呼びます)に並ぶ人も珍しくありません。

評判の店では、開店前から行列

働き者のパン屋さんは、暗いうちから仕込みを始めます。街の辻々に酵母の香りが漂うようになると、評判の店では、開店を待つ行列ができるのがパリの朝の景色です。冬の、まだ暗い凍てつく朝に、顔なじみや近所の人々がおしゃべりしつつ、足踏みしながらbreakfast(=その日の最初の食事)の主役を待つというのも、いかにもパリらしい風情です。

お店で買ったバゲットは、真ん中が手でつかめるくらいの包装紙で包まれていて、両端はむき出しのまま。家に戻る途中、端っこをつまみ食いしながら歩くのがパリっ子らしい“粋”みたいです。硬い皮だってあごの筋力保持のために役立っている。これがおしゃべりにタフな理由ともいわれています。

最近、日本では「絶品」「黄金」「究極」なんて形容詞がぶら下がるフレンチトーストが人気です。溶き卵と牛乳を浸して焼く、プチぜいたくなパンですが、フランスでは“pain perdu(失われたパン、あるいは捨てようとしたパン)”と呼びます。これは日が経ったことで硬くて“歯が立たなく”なったフランスパンの救済措置としての家庭用レシピのこと。所変われば品変わる、グルメさんはご存じですよね。

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