8・01ビットコイン分裂騒動とは何だったのか 仮想通貨を支える技術は、まだまだ未成熟だ

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フォークすると、旧規格のビットコインが残されたまま、新しい規格の新しいビットコインがもう一つ誕生することになります。フォークを発生させたタイミングから、旧規格で動く参加者と新規格で動く参加者とでビットコインが2つに分裂し、この2つのビットコインはそれぞれ別の道を歩むことになります。フォークの前から通貨を所有していた人は両方の通貨に残高が引き継がれます。資産は、数字上は倍になりますが、資産価値が倍になるというわけではありません。また、このように完全に分裂することを、ハードフォークと呼びます。

以上をまとめると、ビットコインが分裂するということは、異なる規格のコインができるということです。その条件として参加者の意見の分裂があり、その結果異なる規格のコインが生まれる可能性があるということです。

では、参加者の意見はなぜ意見が分かれてしまうのでしょうか? 理由の1つは参加者が増えて、ビットコインの規格を決めるうえで合意形成が難しくなってきたことが挙げられます。ビットコイン産業は、5兆円を超えました。参加者は、コア開発者、マイナー(採掘者)、取引所事業者、そしてユーザーがいます。それぞれの立場で利害があります。すると、時に利害が相反します。

8月1日に規格を変更する話も、長年合意形成を行うことができなかったため、一部の人たちが強引にハードフォークをすると言い出し、参加者間で十分な議論が行われないまま強引にハードフォークしようとしたため、意見が分かれてしまったことにより生じた話です。

ビットコインを支える技術は、まだ未成熟だ

ビットコインを支える技術は、まだまだ未成熟です。「規格をどうすればよいか?」や「規格をどうやって決めればよいか?」など、基本的な部分から試行錯誤されている状況です。そのため、今後も規格レイヤーでの議論が行われていき、改善が繰り返されていくことでしょう。

ビットコインが市場として成長する過程で、上述のような規格の決め方や、各国における法律解釈などさまざまなことを議論して合意形成する必要があります。

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日本において、法律解釈の面では今年の4月に資金決済法が改正されたことにより明確になりました。しかしながら、会計上の取り扱いや税務面での取り扱いなど、まだまだ議論整理する必要があります。

会計上の取り扱いに関しては、日本会計士協会により今年の9月に草案が示される予定です。

これまでは技術が先行し、さまざまなことを実現してきました。今後は社会の仕組み(会計・税務など)と整合性を図ることで、ビットコインという新しい技術が社会に浸透していくことが期待されます。

大塚 雄介 コインチェック執行役員

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おおつか ゆうすけ / Yusuke Otsuka

早稲田大学大学院修了、物理学修士号取得。株式会社ネクスウェイでB2B向けITソリューションの営業・事業戦略・開発設計を担当。レジュプレス株式会社に参画(2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更)。2014年2月に取締役に就任。2018年4月にコインチェック株式会社がマネックスグループ株式会社の子会社となると同時に執行役員に就任し、マーケティング・事業開発などを統括。2021年4月より、執行役員として、マーケティングや広報、株主総会支援事業などを統括。2022年1月より、Web3.0時代を牽引するスタートアップを支援する「Coincheck Labs」を立ち上げ、投資や啓蒙活動に従事。

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