米欧中の8月PMI、世界経済の回復示唆 FRBは早ければ9月に量的緩和縮小も

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8月23日、8月のPMIは、米中が数カ月ぶりの高水準となったほか、ユーロ圏も市場予想を上回り、世界経済の回復を裏付ける内容となった。写真は米国車の工場で2012年10月撮影(2013年 ロイター/Bogdan Cristel)

[ニューヨーク/ロンドン 22日 ロイター] - 23日に発表された8月の世界各国地域の購買担当者景気指数(PMI)は、米中が数カ月ぶりの高水準となったほか、ユーロ圏も市場予想を上回り、世界経済の回復を裏付ける内容となった。

米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月にも量的緩和の縮小に踏み切る公算が強まるほか、米欧資産の投資妙味が高まる可能性がある。

市場ではFRBの量的緩和縮小に対する警戒感が強いが、緩和縮小に踏み切ることは世界の成長の柱である米経済に対するFRBの信頼感を意味する。

インベステックの首席エコノミスト、フィリップ・ショー氏は「緩和縮小は、米経済が加速しているというFRBの認識を示し、回復がより堅固であることを示唆することになる」と述べた。

またユーロ圏や中国についても「緩やかながらも回復に弾みがついていることを示す兆候が見られる」と指摘した。

マークイットが発表した8月の米製造業PMI速報値は53.9と、5カ月ぶりの高水準となった。生産が低下したものの、新規受注は7カ月ぶりの高水準、雇用も4カ月ぶりの高水準となった。

マークイットによる8月のユーロ圏PMI速報値は総合が51.7と、前月の50.5から上昇。予想の50.9を上回り、2011年6月以来の高水準を記録した。

ドイツが7カ月ぶりの高水準となった。ただ、フランスは前月から低下し、景況の改善・悪化の分かれ目となる50を引き続き下回った。

中国では、HSBCが発表した8月の製造業PMI(季節調整済み)速報値が50.1と、11カ月ぶり低水準だった前月の47.7(改定値)から上昇し、4カ月ぶり高水準を記録。製造業部門の緩やかな成長を示唆する格好となった。

ノムラ(香港)の中国担当エコノミスト、Zhiwei Zhang氏は8月の製造業PMIについて「中国経済が短期的に安定し、今年下半期の下方リスクが低下したことを裏付ける内容」と指摘した。

この日の経済指標は全体として、世界経済が低迷から徐々に抜け出す現状を映す結果となった。

米緩和縮小観測を受けた資金流出に直面する一部の新興国に関しては見通しが懸念されるが、米欧が持続的に回復するとともに中国経済が安定化すれば、世界経済全体の下支えになるとエコノミストは指摘する。

マークイットの首席エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏が回復すれば、世界経済にとってもプラスになる」と語った。

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