B-CASカードは4K/8Kになると"悪質化"する

NHKが密室で主張していることとは?

ところが新CAS協議会が主張する方式では、中間業者である半導体商社がチップを各メーカーにACASチップを販売したうえで、チューナー部に直接搭載することが求められる。すでに新CAS協議会はチップの販売業者の公募を開始した。

すなわち、ACASチップを搭載するコストは製品の販売価格に上乗せされることになる。メインボード上にACASチップが直接搭載されるため、修理もカード交換だけでは済まずメーカー対応となり修理代が大幅に上昇(数万円)するほか、商社とメーカーがそれぞれ適正利潤を乗せようとすれば、B-CASカードのコスト300円を超えることは必至だ。そして、その金額は製品価格に加えねばならなくなる。

金額は小さいかもしれない。しかし、問題はこのような議論が密室で行われてしまっていることだ。

「スクランブル解除機能」と「契約者識別機能」

そもそもB-CASカードおよびACASチップには主に2つの機能がある。ひとつは暗号化された映像を復元するスクランブル解除機能。もうひとつは有料放送局が加入者を識別したり、NHKがカード番号登録を依頼するようメッセージ表示する際に用いる契約者識別機能だ。

なお、この2つの機能のうちスクランブル解除に関してはICを用いる必要はなくソフトウエアでも実現できる。つまり、CASを導入することによる受益者は、契約者識別によってスムーズな課金をできるようになるNHKと有料放送事業者ということだ。

実はこのB-CASカードも、サービス開始直前まではチューナー搭載製品への同梱が必須となる予定ではなかった。上記のように受益者となる事業者(NHKと有料放送事業者)が少数派だったためだ。

多数派である無料放送局はスクランブル解除機能以外は不要であり、ソフトウエアでも対応できる。そのため、費用負担が発生するB-CASカードには反対の立場だった。有料放送局は加入者識別機能がなければ、そもそもの事業が成立しないが、有料放送局ならば新規加入者向けに個別にカードを発行すればいいだけだ。

しかし、民放でデジタル放送開始の準備をしていた当時の担当者の証言によると、NHKの担当者がB-CASカードをデジタル放送の必須アイテムにするように強く主張したという。これはカード登録をうながすことにより、受信料未払いの視聴者をあぶり出すメッセージを表示するためだ。

この目的のために全デジタル放送チューナーにB-CASカードが添付されることになって現在に至っている。これだけでも利便性の点では大問題といえるが、費用負担という点では消費者が一方的に不利益を強いられることはなかった。

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