人気作家夫婦が交互連載で離婚を考えたワケ

自分の怒りの理由を相手に聞くクイズはNG!

――田辺さんは「なぜ夫は私にこの本を勧めたのか」をしきりに考えていました。

田辺:ホントに意図したことがわからなくて……。いちばん困ったのが『立体折り紙アート』(三谷純・著)。こんなの絶対に折れないよって。

円城:「きれい」って感想でいいじゃない。作れって課題じゃないんだから。

田辺:だって、そのための本じゃない!

円城:いやいや、他の本もそうだけど、僕の選書は「書店でなじみのある本棚の前に君を連れて行った」以上の意味はないんだよ。そういう夫婦間の認識のズレも含めて埋めていこう、というのが連載意図だったけど、本を勧め合ったところでまったく埋まらないということがわかってしまった(笑)。

家庭内で仕事の話はしたくない

――この連載は田辺さんの発案ですよね。円城さんは今まで夫婦でのお仕事をずっと避けてきたのに、なぜ今回に限ってOKしたんですか?

円城塔(えんじょう とう)/1972年北海道出身。『道化師の蝶』で第146回芥川龍之介賞受賞、『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門受賞(撮影:菊岡 俊子)

円城:僕は家で仕事の話をしたくない派ですが、この人との間に編集さんを介してやり取りすれば、仕事を家庭に持ち込まないで、完全に分けられると思ったんですよ。「エッセーの内容について家庭内で相談してはならない」というルールも最初に決めましたし、相手の文章はサイトに掲載されるまで読めないから。なのに、この人がルールを破って連載のことを家で話しちゃうから、意味がなかった。

田辺:つい(笑)。

円城:ルールを気にしない人なんですよ。だいたい、ルールの中に「課題図書は紙の本」って書いてあるのに、「電子化された本を選んでほしかった」とか言ってくる。なんのためのルールだよ!

――それでも、円城さんが田辺さんに『ソラリス』(スタニスワフ・レム・著)を勧めて、田辺さんが円城さんに『バトル・ロワイアル』(高見広春・著)を勧めたラスト2冊の結びは、すごくきれいな大団円でした。

円城:頑張ったんですよ。なんとか本にまとまるように。

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