JR東日本が「360キロ新幹線」に着手する理由

3度目の挑戦で、国の規制を打ち破れるか

JR東日本が2005~2009年に走行試験を行った「ファステック 360」(写真:alpha7000 / PIXTA)

7月4日、JR東日本(東日本旅客鉄道)は次世代型新幹線の開発を始めると発表した。2019年春をメドに試験車両を完成させ、最高時速400キロメートル程度での試験運転を行う。北海道新幹線が札幌まで延伸する2030年度までに時速360キロメートルで安全、快適に営業運転できる車両を開発することが目標だ。

この日に先立つ6月28日には、JR東海(東海旅客鉄道)が東海道・山陽新幹線の次世代車両「N700S」の概要を発表している。思えば1990年代には、JR本州3社は競って高速試験車両の開発にしのぎを削っていた。JR発足30年という節目の年、新たな新幹線の開発競争の火ぶたが切られたのは間違いない。

ところで、JR東海のN700Sは来年3月に確認試験車が登場し、2020年度には量産車が営業運転を行う。一方のJR東日本の次世代新幹線の営業運転はそのずっと先だ。なぜ発表がこのタイミングになったのか。

先頭車両は2タイプを製造

JR東日本が開発する試験車両の正式名称は「E956形式新幹線電車」で、愛称は「ALFA-X(アルファエックス)」。10両編成で地上設備も含めた製作費は約100億円という。

両端の先頭車両はAタイプ、Bタイプの2種類を製造する。高速でのトンネル突入時に生じる衝撃波をAタイプ、Bタイプのどちらがより軽減できるかを検証するためだ。Aタイプは鼻の部分が「E5系」よりやや長く、BタイプはE5系と同程度という。

これ以外にパンタグラフの形状を工夫するほか、台車下部についても発生する騒音の音源を特定し対策を講じることで騒音の低減を目指す。さらに、地震発生時により早く止まる、車両の機器をモニタリングして故障を予測し未然に防止する、といった機能も盛り込まれる。試験項目には着雪のしにくさも含まれている。北海道での走行を念頭に置いているものとみられる。

開発コンセプトには「安全・高速な移動手段の提供に加えて、新たな価値の提供」と記されている。「新たな価値」が何を指すのか気になるところだが、明言はされていない。揺れが少なく静かな車内空間の実現を目指しているようだ。

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