世界の中でも、日本市場は重要かつ特別なマーケット
長年にわたりアメリカン・エキスプレスのワールドサービス担当上級副社長として、カスタマーサービスを統括してきたブッシュ氏は、2015年10月、同社のグローバルネットワークならびにインターナショナルコンシューマーサービス領域担当プレジデントに着任した。
米国を除く、世界中の個人向けカードビジネスを統括するブッシュ氏、そしてアメリカン・エキスプレスは、日本市場をどのように捉えているのだろうか。
「私が入社してからの30年間で、アメリカン・エキスプレスを含む金融業界は大きく変わりました。グローバリゼーションの潮流と、テクノロジーの進化の恩恵を受け、当社は現在約140カ国でサービスを展開しており、その中でも特に日本を重視しています。私は日本を含むアジア地域のビジネスを統括していましたが、政府や社会が一体となってキャッシュレス化を推進している日本市場では特に、将来的な成長を見込める魅力的なビジネスチャンスが潜在していると確信しています。日本ではまだ、カード決済よりも現金での決済が多いのですが、クレジットカードという新たな決済方法を選択するお客様は今後増えると考えます。プリペイドカードや電子決済、モバイル決済が現金決済に比べて簡単、安全で、よりカスタマイズされたサービスを提供できるため、より一般的に普及していくのは明らかです。当社は、ダイニングをはじめとした会員様限定の特典をお楽しみいただけるアメリカン・エキスプレス・サービス・アプリや、貯めていただいたポイントを各種お支払いにご活用いただけるサービスを通じて、日本のお客様により良いサービスを提供するべく、休むことなくイノベーションを続けていきます」
アメリカン・エキスプレスが日本に進出したのは1917年。それからちょうど100年が経過した今、同社はブランドの柱である顧客サービスの質とユーザー満足度をさらに上げるべく、取り組みを進めている。
たとえば日本最大級の加盟店網を持つ、JCBとの加盟店業務提携だ。これにより既存の加盟店に加えて、日々の生活でカードを使える場面が拡大(公共料金の支払いやスーパーマーケット、ドラッグストアなど)し、ユーザーの利便性が飛躍的に高まったのだ。これは、日本で同社のビジネスが躍進する原動力となっている。
徹底した顧客目線のサービス
一方で同社は、「世界で最も尊敬されるサービス・ブランドになる」というビジョンを掲げ、顧客サービスにも力を入れてきた。ブッシュ氏をよく知る人物は「彼の、顧客目線の徹底ぶりは驚嘆するほど」と評するが、そのサービスは日本国内でも徹底されている。実際外部の調査機関が行ったコールセンター満足度調査でも、全業種の中でアメリカン・エキスプレスが第1位に選出されるなど、非常に質の高いサービスを提供する会社として評価されている。
グローバルネットワーク&インターナショナルコンシューマーサービス プレジデント
「当社のビジネスモデルは、他の国際決済ブランドとは異なります。他社の多くは決済プロセスにおけるネットワークの提供を主にしていますが、私たちはお客様や加盟店とのコネクションを独自に保有しています。だからお客様とダイレクトに結びつき、貴重なインサイトなどを得ることができるのです。昨今のテクノロジーの変化によって、購買履歴やデモグラフィックなどのデータを活用し、お客様にも加盟店にも新たな価値を提供することができるようになりました。私たちはこれを『クローズドループ』と呼んでいます」と、ブッシュ氏は同社の強みを強調する。
「デジタル化やモバイル化により、従来よりももっとダイナミックなサービスを提供できるようになりました。これからは、たとえばお客様の居場所や購買履歴に基づき、その場所に適したサービスを提供するといった、柔軟な使い方もできるようになるでしょう。またテクノロジーの進化により、新規顧客を獲得する方法も変わりました。従来のダイレクトメッセージの送付や対面接客に加え、今はウェブサイトやモバイルアプリから会員になるお客様が増えており、この勢いはますます加速しています」
同社は2015年から、ICチップを搭載した「非接触型カード」の発行も始めている。非接触型カードを使う時は暗証番号の入力が必要なため、カードを落としたり紛失したりしても、第三者に不正利用されるリスクが低い。セキュリティがますます堅牢になったというわけだ。
すでにモバイル決済にも対応
そして17年3月からは「Apple Pay」にも対応し決済方法の選択肢を増やすなど、顧客目線の「使いやすさ」「利便性」を追求しながら、現在もアメリカン・エキスプレスは進化を続けている。
「これまでも、海外で生まれた最新のサービスやソリューションを積極的に日本市場に投入してきましたが、デジタル技術の進化により、さらにスピーディに、効率的に導入できるようになりました。日本のお客様にも、アメリカン・エキスプレス独自のサービスや価値を、より早く、広く、身近に享受していただけるようになってきたのです。これからも、日本のお客様からの高い期待に応えるべく、革新的な製品やサービスを提供し続けてまいります」
「アメリカン・エキスプレスのクレジットカード」というと、高品質なプレミアムブランドというイメージが定着しているかもしれない。しかし今後同社は、生活のさまざまな場面で使えて、より多くのサービスや価値を享受できる、幅広い「ライフスタイルブランド」でもありたいと考えている。
ブッシュ氏はそのために「24時間365日、どこにいても日本のお客様にワールドクラスのサービスを提供できるように努めたい」と強調する。
デジタル化やモバイル化により、クレジットカードの利便性は日に日に高くなっている。同時に決済方法の多様化が進み、カードビジネスそのものも大きく進化している。カードビジネスが今後どう進化していくのか、そして未来のクレジットカードは私たちにどんな価値を提供してくれるのか。「今後の成長ポテンシャルは極めて高い」と、日本でのさらなる成長と、お客様のニーズを一番に考え、最高品質な製品とサービスの提供に注力し続ける同社の動向に、期待とともに注目したい。