「世界で最も尊敬されるサービス」のつくり方 これからの決済市場とアメックスの成長戦略

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アメリカン・エキスプレスが日本に進出したのは1917年。それからちょうど100年が経過した今、同社はブランドの柱である顧客サービスの質とユーザー満足度をさらに上げるべく、取り組みを進めている。

たとえば日本最大級の加盟店網を持つ、JCBとの加盟店業務提携だ。これにより既存の加盟店に加えて、日々の生活でカードを使える場面が拡大(公共料金の支払いやスーパーマーケット、ドラッグストアなど)し、ユーザーの利便性が飛躍的に高まったのだ。これは、日本で同社のビジネスが躍進する原動力となっている。

徹底した顧客目線のサービス

一方で同社は、「世界で最も尊敬されるサービス・ブランドになる」というビジョンを掲げ、顧客サービスにも力を入れてきた。ブッシュ氏をよく知る人物は「彼の、顧客目線の徹底ぶりは驚嘆するほど」と評するが、そのサービスは日本国内でも徹底されている。実際外部の調査機関が行ったコールセンター満足度調査でも、全業種の中でアメリカン・エキスプレスが第1位に選出されるなど、非常に質の高いサービスを提供する会社として評価されている。

Jim Bush
グローバルネットワーク&インターナショナルコンシューマーサービス プレジデント

「当社のビジネスモデルは、他の国際決済ブランドとは異なります。他社の多くは決済プロセスにおけるネットワークの提供を主にしていますが、私たちはお客様や加盟店とのコネクションを独自に保有しています。だからお客様とダイレクトに結びつき、貴重なインサイトなどを得ることができるのです。昨今のテクノロジーの変化によって、購買履歴やデモグラフィックなどのデータを活用し、お客様にも加盟店にも新たな価値を提供することができるようになりました。私たちはこれを『クローズドループ』と呼んでいます」と、ブッシュ氏は同社の強みを強調する。

「デジタル化やモバイル化により、従来よりももっとダイナミックなサービスを提供できるようになりました。これからは、たとえばお客様の居場所や購買履歴に基づき、その場所に適したサービスを提供するといった、柔軟な使い方もできるようになるでしょう。またテクノロジーの進化により、新規顧客を獲得する方法も変わりました。従来のダイレクトメッセージの送付や対面接客に加え、今はウェブサイトやモバイルアプリから会員になるお客様が増えており、この勢いはますます加速しています」

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