日本の教育、「皆同じでなければ」への違和感 乙武洋匡がオランダで見た子どもの伸ばし方
7月6日に配信した「日本の『知識偏重教育』がオランダに学ぶこと」に続く後編。石原さんのご長女が在籍する低学年グループを離れ、今度は高学年グループを見学させていただくことにした。こちらはすでに朝のサークル対話が終わっていて、授業が始まっている。しかし、日本で目にする「授業」とは、ずいぶん様子が違っていた。
どのように座るかは子どもたちの自由
日本の学校における「授業」といえば、黒板に向かって整然と並べられた座席に子どもたちが着席し、教師の話を静かに聞いている――そんな風景が思い出される。たまに教師が、「これ、わかる人?」と質問を投げかけ、子どもたちが慌てて目をそらす、といったあたりまでセットで連想する人も少なくないかもしれない。
ところが、「ドイツ生まれ、オランダ育ち」である「イエナプラン教育」の学校では、こうした一斉授業と呼ばれる形式の授業が行われることはほとんどない。そもそも、子どもたちの座席も日本のように列をなしているわけではなく、なんとなく3~4人が机を合わせて“島”をつくりだしているだけ。どのように座るかは子どもたちの自由で、特に教師から指示があるわけではないという。
「そんな自由に座らせたら、子どもたちは静かに勉強などするはずないでしょう」
日本の学校風景を思い浮かべると、どうしてもそんな疑問が湧いてきてしまうが、目の前の子どもたちは黙々と机に向かっている。いったい、どんなことをしているのだろうと机の上をのぞきこんでみると、各自が取り組んでいることはバラバラ。3ケタ-3ケタの引き算を練習している子もいれば、イラスト入りの本をパラパラとめくっている子もいる。
あれ、今は自習時間なのかな……。答えは、半分YESで半分NO。確かに「自習」には違わないのだが、これは決して特別な時間ではない。イエナプラン教育では、あらかじめ子どもたちが自分自身の興味・関心や得意・不得意などを考慮しながら「マイ時間割」を作成し、その時間割に沿って学習を進めていくのだ。
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