ル・マンでジャッキー・チェンが活躍した理由 優勝したポルシェに続き、トヨタを下した
スポーツはしばしば、勝者よりも敗者にスポットライトが当たる場合がある。モータースポーツでもそれは例外ではない。
佐藤琢磨選手が日本人初優勝を果たした米国のインディ500、F1のモナコグランプリと並ぶ世界3大レースといわれるル・マン24時間。1923年に第1回が開かれたこの名門レースでは昨年、トヨタ自動車のTS050ハイブリッドがトップを快走していたものの、24時間まで残り3分というところで突然ストップ。ポルシェ919ハイブリッドが連覇を達成したことが記憶に新しい。
なぜトヨタは敗退し、ジャッキー・チェンは2位に?
一方、6月17日~18日にかけて行われた今年のル・マンでは、3連覇を果たしたポルシェに続く2位のマシンに、別の意味で注目が集まった。
マシンをエントリーしたのはジャッキー・チェンDCレーシング。世界的に有名な香港のアクションスター、ジャッキー・チェンがレーシングドライバーのデビッド・チェンと共同で設立した、自動車メーカーとは関係のないプライベートチームだ。しかもマシンはLMP2のオレカ07であり、ポルシェやトヨタがエントリーしたLMP1より格下だった。
それが総合2位、しかも優勝したポルシェ2号車とわずか1ラップ差だったことに驚かされた。しかもこの38号車、ゴール2時間前にはトップを走っていたのである。
3位に入ったのも同じジャッキー・チェンDCの37号車であり、以下7位までLMP2が占めた。優勝したポルシェ以外で完走したLMP1は8位のトヨタのみだった。LMP1が4位までを独占した昨年とは対照的だ。
なぜトヨタは敗退し、ジャッキー・チェンは2位に入ったのか。現地で取材していくうちに理由がわかってきた。
ひとつはLMP2マシンの性能向上だ。ル・マンは24時間に何周したかで順位が決まる。昨年と今年の上位入賞マシンの周回数を見ると、いくつか気づく点がある。
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